2022 Fiscal Year Research-status Report
The Analysis of the Gender Gap in Financial Literacy
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20K12467
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
丸山 桂 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (30318878)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 金融リテラシー / ジェンダー / 加齢 / 近視眼 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、金融リテラシーのジェンダーギャップの要因を、実証分析から解明するものである。 第3年度目には、金融広報中央委員会「金融リテラシー調査」(2016年、2019年)を用いて、金融リテラシーの男女差の要因を、金融知識の欠如と女性の自信のなさとの関係性、加齢に伴う男女の金融リテラシーの変化の測定という2つの研究を行った。 まず、金融知識の欠如と女性の自信のなさとの関連性を分析した結果、金融リテラシーの正誤問題の正答数は、金融知識の自認と数学力との有意な相関があり、正誤問題を「分からない」と回答するのは女性の方が高く、「分からない」と答える者の方が「誤答」を回答する者よりも、不利な金融行動の状況が明らかとなった。これは、昨年度に実施した、子どもの金融リテラシーの分析結果結果とも一致する内容であり、「分からない」と回答しがちな者が不適切な金融行動や消費者行動を取る傾向にあるのは、世代を問わず共通していることが確認できた(丸山 2022)。 また、加齢にともなう男女の金融リテラシーの変化に関する実証分析からは、高齢期になると男性よりも女性の方が金融知識の正答率の低下が顕著に見られること、また自身の金融知識を実力以上に高く評価する自信過剰バイアス、横並び傾向や近視眼的行動など、行動経済学で指摘される認知機能のゆがみがより強まる傾向があることが明らかとなった(丸山 2023)。金融リテラシーの低下と高齢者の経済的虐待には関連性があることが先行研究でも指摘されており、学校における金融教育には社会保障や社会福祉にかかわる事項も盛り込むべきことを提言した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は学会報告を1回、1論文を学術雑誌に掲載したが、当初予定していたアンケート調査の実施を翌年度に繰り越すことになった。金融リテラシーに関する調査の二次的分析は実施することができたが、2022年4月より開始された金融教育の義務化にともなう、教育現場における実際の金融教育内容の内容やその効果、問題点等をふまえて、調査票を大幅に再設計したほうが、適切な調査結果が得られると判断した。そのため、当初予定していたアンケート調査設計に時間を要すことになった。 2023年度において、アンケート調査を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度には、2022年度に実施できなかったアンケート調査の実施を予定している。そのために、アンケート調査案の設計と倫理審査の受審などを行う。また、その調査成果について学会報告や論文発表を行う予定である。 また、すでに実施した個票データの二次的分析の成果についても、学会報告や論文投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2022年4月よりスタートした金融教育の義務化にともなう教育効果や問題点をふまえ、調査票設計を再度検討する必要が生じ、アンケート調査の実施を翌年に行うことを決定したため、調査費用の残額が生じた。また、コロナ禍以降、学会がすべてオンライン開催になったため、旅費の支出がなくなったことも理由である。 2023年度には、インターネット調査を実施するため、次年度使用額は調査費用に充当することを予定している。
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