2020 Fiscal Year Research-status Report
男性看護師向けジェンダー問題対応実践力獲得教育プログラム開発
Project/Area Number |
20K12471
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
杉森 千代子 金沢医科大学, 看護学部, 講師 (70737973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 有行 金沢医科大学, 医学部, 教授 (80190221)
宮永 葵子 金沢医科大学, 看護学部, 講師 (80782367)
松井 希代子 金沢医科大学, 看護学部, 准教授 (90283118)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 男性看護師 / ジェンダー / 教育プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、男性看護師と患者との間に生じるジェンダー問題を明らかにし、それに対して、熟練男性看護師の経験を基に、対応実践力を向上させる教育プログラムを開発することである。研究は以下、Step①男性看護師と患者間に生じるジェンダー問題構造の明確化、Step②熟練男性看護師のジェンダー問題対応力の修得過程の明確化、Step③教育内容の抽出、教育プログラムの作成、Step④模擬患者を用いた場面設定による客観的能力試験でプログラムの検証、Step⑤教育プログラムの開発(完成版)、以上の5段階である。 本年度はStep①として、研究デザイン:記述的質的研究 エスノグラフィーアプローチを実施した。研究対象である一般病棟に勤務する新人男性看護師4名を該当病院の許可を得、該当男性看護師を選出してもらい、参加観察と面接調査を行った。新人男性看護師が看護業務を行う上で、男女各患者に対して関わる困難や工夫している状況を参加観察した。その後、その時の現象をどのように捉えているかを聞き出す面接を実施した。この録音を業者に依頼し、逐語録を起こした。 さらに、Step②として、研究対象者である一般病棟に勤務する熟練男性看護師5名を該当病院の許可を得、該当男性看護師を選出してもらい面接調査を行った。熟練男性看護師が看護業務を行う上で、男女各患者に対して関わる困難や工夫している状況をその時の思いをどのように捉えて、熟練者と言われるるまでを経過してきたのかについて聞き出す面接を実施した。この録音を業者に依頼し、逐語録を起こした。 以上より、計9名の逐語録を分析中である。今後、他病院に勤務している熟練男性看護師の面接調査を9名予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究課題はStep①、②である。Step①に関して、この研究方法はエスノグラフィーでの実施であることから、病棟勤務している現場を参加観察する必要がある。当初の予定通り、新人男性看護師4名の実際について実施することできた。さらに、その後別日を設定し、直接面接調査を実施することができた。その結果、新人がどのような状況や思いで看護業務を行っているのかについてのカテゴリーの分析データは収集は終了した。今後、逐語録を基に詳細な分析を行い、論文作成する予定である。 また、Step②に関しては6名の熟練男性看護師に直接面接調査を行った。この研究方法は、修正版グランデッドセオリー・アプローチでの実施であることから、数名の調査データからカテゴリー抽出がなされ、さらに、追加しながらカテゴリーの拡大や深化する分析が必要となる。今回は5名の逐語録作成するに至った。このデータからは、熟練看護師が新人の頃からどのような体験をして、どのような思いをし、熟練するまでに至ったかを語ってもらっている。共通するコアカテゴリーとして、「女性患者の関わり方を患者によって区分する」が抽出されたが、今後さらに詳細に分析し、これを基に先行分析として、次々に該当研究対象者と面接調査をする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
Step①に関しては分析を進める。その過程では研究分担者とデータを共有して、信頼性を高める。研究対象者が4名であることより、若干データの不足も考えられるため、新人男性看護師を数名追加することを検討している。しかしながら、コロナ感染対策で病棟内への部外者の立ち入り困難なことが予想される。そのため、再度検討する予定である。 また、Step2 については、面接調査を終了した研究対象者は5名である。このデータを分析して、さらに8名の熟練男性看護師からデータ収集する予定である。ただし、コロナ感染対策により、他の施設の者との接触は禁止されている可能性がある。そのため、インターネットを利用してZoom面接へとデータ収集方法を変更することを検討している。その場合、先に直接面接を行ったデータと混合しても研究結果に影響がないか懸念される。この研究方法は修正版グランデッドセオリー・アプローチであることより、研究学会に問い合わせ確認することを検討している。本研究責任者はこの学会の会員で、創始者の理事長である木下康仁教授から、具体的な方略が提示されると考えている。もし、調査方法が違うために研究データが混合できない場合は、Zoomでのデータを取り直すことになる。いずれにしても、正確なデータ収集ができるよう努める。
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Causes of Carryover |
研究計画としてはほぼ予定どおりに進めることができた。しかし、収集したデータを分析をする段階で研究方法の質を担保するための研修や学会に参加する予定であったが、コロナ禍により研修が開催されることなく、当初予定していた学会参加のための旅費を使用することはなかった。さらに購入を予定していた機器が当初よりも安価で購入できたこと、また同じくコロナ禍によりデータ収集が予定の人数が終了していないために、支出する予定であった謝金や逐語録をおこすための人件費も使用しなかった。このため次年度未使用額が生じた。2021年度は、図書、物品、外注費(データ入力)、学会参加費、英文校正料、別刷り代に使用予定である。
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