2022 Fiscal Year Annual Research Report
クラスターイオンに特異的な突然変異誘発と産業応用に関する基盤研究
Project/Area Number |
20K12489
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
長谷 純宏 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 上席研究員 (70354959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森林 健悟 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学領域, 上席研究員(定常) (70354975)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | クラスターイオン / DNA鎖切断 / 動径線量 / 核間距離 |
Outline of Annual Research Achievements |
クラスターイオン特有の照射効果を見出すため、DNAを試料として真空チャンバー内で照射し、切断されたDNA鎖長の分布の評価を試みた。予備試験としてpUC19プラスミドDNAを水溶液または乾燥状態でガンマ線に暴露し、アガロースゲル電気泳動でDNA鎖長の分布を評価した結果、水溶液に比べて乾燥状態ではやや切断効率が低下するが、少なくとも1kGyでDNAの断片化が確認された。そこで、シリコンウェハ上に滴下して乾燥させたDNAに対して、真空チャンバー内で2 MeV H2+及び1 MeV H+を照射した。線量6 kGyに相当する1x10e11 (particles/cm2)では明らかな切断は確認できなかった。一方、1x10e13または1x10e14 (p/cm2)では低分子化したDNAが確認できた。1x10e13 (p/cm2)では、1 MeV H+では未切断のプラスミドDNAのバンドが確認されたのに対し、2 MeV H2+では確認できなかった。更なる検討の結果、この違いは1 MeV H+に比べて2 MeV H2+の方が弾き出し効果が高いことによるものと考えられた。従って、クラスターイオンでは弾き出し効果が高いためにDNA鎖切断の定量的な評価が難しく、また、低分子化したDNAについても、調査した範囲内ではクラスターイオンと単原子イオンの間で明確な差を見出すことはできなかった。また、これらの試験と並行して、クラスターイオンが水を透過する場合を想定したシミュレーションを実施し、クラスターを構成するイオンの数及び距離が照射によって生じる二次電子の挙動及び動径線量に及ぼす影響を評価した。
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Research Products
(2 results)