2021 Fiscal Year Annual Research Report
Electron Lense for High Intensity Proton Beams
Project/Area Number |
20K12502
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
栗本 佳典 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 准教授 (70597559)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 空間電荷効果 / 陽子ビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
電子銃レンズの設計仕様を決めるため、当該装置による補償対象となる大強度陽子加速器J-PARC Main Ringにおける空間電荷効果のシミュレーションを行ったところ、空間電荷効果由来となる高次のベータトロン共鳴がビーム損失に寄与していることを突き止めた。また、この効果はビーム強度が大きくなるにつれて顕著になることも分かった。当初は、陽子ビームがつくる空間電荷ポテンシャルをすべて補償するような20 A程度の大電流の電子銃レンズを想定していたが、このシミュレーション結果によると、高次の効果だけでも補償できれば、0.1 %- 1 %の電流値でも十分に効果を発揮できる可能性があり、その場合には、実機の早期実現が期待できる。 そこで、2020年度は、電子銃の高圧電源を設計するという当初の計画を変更し、J-PARC Main Ringの空間電荷効果ポテンシャルのどの多極成分がビーム損失に寄与しているかの詳細な解析を行うことにした。その結果、ビーム軸に垂直なxy平面(xは水平方向、yは鉛直方向)上の二次元空間電荷ポテンシャルを考えた時、y^8に比例する成分がビームロスに寄与していることが分かった。このような高次の効果は、いわゆるRapid Cycleのシンクロトロンでは観測できず、J-PARC Main Ringのような秒オーダーの長いサイクル周期をもつ加速器特有の新しい現象だと考えられ、ビーム増強への障壁になり得る。 2021年度は、上記のビームロス低減を目的として、1A程度の電子銃レンズを仮定して、詳細な数値シミュレーションを行った。これにより約10%-20%のビーム損失が低減できる可能性があることを示した。結果は日本加速器学会第18回年次大会で報告した。
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Research Products
(2 results)