2020 Fiscal Year Research-status Report
オーラルヒストリーを通した20世紀後半日本におけるデザイン組織の形成と活動の探求
Project/Area Number |
20K12508
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
樋口 孝之 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (70375608)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | デザイン史 / インハウスデザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,企業内デザイン組織の展開過程について,文書史料を基礎資料として,1960年代から1980年代にデザイン活動を行っていた先達デザイナーに口述採録を実施し,その検証を通して20世紀後半日本におけるデザインの役割の推移を明らかにしていくものである。調査課題として,1.組織形成ならびに発達の過程,2.デザイン活動目的の設定と作業対象の拡張と変遷,3.展開過程におけるグローバルな交換を設定した。2020年度は,調査計画に基づき,組織形成ならびに発達の過程について,文献調査を通して採録調査に向けた基礎資料の整理を実施した。「工藝ニュース」において家庭電化,映像音響の企業に関する情報を収集,デザイン組織設立期について概要の整理を行なった。家庭電化品メーカーが1950年代にデザイン部門を設立した後,1970年頃までの部門の進展について,セクション(部・課・係等)の構成など確認を行なった。デザイン活動目的の設定と作業対象の拡張と変遷について,家庭電化品メーカーのデザイン部門について,製品領域,業務内容,デザイン作業の範囲とプロセスの確認を行なった。それらより,まず家庭電化品メーカー二社について,口述採録調査のための基礎資料を作成した。また,自動車メーカーのデザイン部門について,1960年代から1970年代初頭のデザイン制作事例,ショーカー事例の資料整理を行なった。展開過程におけるグローバルな交換について,当時のデザイン部門がどのような海外デザイン情報に関心を有していたか,1960年代に流通していた海外デザイン情報を「工藝ニュース」に確認を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID19により活動制限が出来し期間を通して状況が収束しなかったため,本研究において調査協力者として対象となる高齢者への口述採録調査の実施を見合わせた。また上記状況により,計画する海外調査の実施が履行できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は,COVID19による活動制限が継続しており,一定の収束後があった後も社会状況下の倫理的判断から高齢者への口述採録調査の実施は困難と考える。そのため2021年度は基本として口述採録調査の実施を見合わせ,文書史料の収集と分析に比重を置いて調査を進める。また,海外デザイン事情について海外調査についても渡航計画の策定が難しい。2021年度は,調査課題とする①組織形成ならびに発達の過程,②デザイン活動目的の設定と作業対象の拡張と変遷について文献調査を進め,加えて,計画を修正し一般社団法人工芸財団が所有の産業工芸試験所が所蔵していた資料について調査を予定する。
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Causes of Carryover |
COVID19状況下の制約により口述採録調査を見合わせたため,調査に計上した調査対象者への謝金,調査補助,専門業務謝金等の支出が生じなかった。同じ理由により,海外調査ならびに国内調査を実施しなかったために旅費が生じなかった。次年度においてもCOVID19に起因する制約によって口述採録調査が困難と推測され,口述記録調査ならびに海外調査の金額の低減ならびに繰延を予定する。調査計画を修正し,文書資料の調査の比重を増やし,当該調査の実施ならびに資料整理補助謝金への使用を計画する。
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