2023 Fiscal Year Annual Research Report
オーラルヒストリーを通した20世紀後半日本におけるデザイン組織の形成と活動の探求
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20K12508
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
樋口 孝之 千葉大学, デザイン・リサーチ・インスティテュート, 教授 (70375608)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | デザイン史 / インハウスデザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,企業内テザイン組織の展開過程について,文書史料を基礎資料として1960年代から1980年代にデザイン活動を行っていた先達デザイナーに口述採録を実施し,その検証を通して20世紀後半日本におけるデザインの役割の推移を明らかにするものと計画した。調査課題として,1. 組織形成ならびに発達の過程,2. デザイン活動目的の設定と作業対象の拡張と変遷,3. 展開過程におけるグローバルな交換を設定した。2023年度は文書資料の情報整理に比重をおき,収集資料から考証を行なった。家庭電化製品メーカー,映像音響のメーカー各1社のインハウスデザイン部門について,企業内デザイン部門の活動内容,デザインについて媒体に記録が残る製品を確認し,考察を行なった。本研究を,先達デザイナーに口述採録を実施し採集記録について考証を行うものとして計画したが,COVID19感染症の状況・事情により研究倫理の配慮から高齢者への対面聞き取りを断念することとなり,文献調査として行う方法へ変更した。調査において,対象の家庭電化製品メーカーにおいて,既往文献から高度経済成長期にデザイン部門が設置されたと認識されていることに対してそれ以前からラジオ部門などへデザイナーの配置があったこと,高度経済成長期に企業と通商産業省産業工芸試験所との具体的な人材交流の様子などについて確認を得た。本研究では,文献調査に記録されにくい各時代の証言からデザイン史を再検討するという所記の成果を得ることはできなかったが,調査対象とした企業内デザイン組織について断片的ではあるが組織形成の様相について従来看過されていた知見を収集できたものと考える。成果について整理して研究発表を行う。
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