2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K12512
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
長野 和雄 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (90322297)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 椅子座面 / 座面表面湿度 / 大腿後皮膚表面湿度 / むれ感 / 知覚閾値 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、令和3年度に気温25℃で実施した被験者実験(以降、25℃実験)に準じ、気温のみ28℃に変更した実験(以降、28℃実験)を行った。すなわち、健康な男子大学生・院生20名を、気温28℃・湿度50%・気流を静穏に保った実験室に入れ、30分間立位安静の後、実験用椅子に着き90分間生理・心理測定を行った。実験用椅子は、座面にスリット状の空隙があるトリニダードチェア、身体形状に合わせて座面が湾曲している図書館椅子、平らな座面を持つ学校椅子の3条件とした。 その結果、28℃実験の方が25℃実験よりも接触面の温度が約2℃、水蒸気分圧が約10hPa高かった。両実験とも、大腿後皮膚表面水蒸気分圧(以降、pb-thigh)が約20hPa未満の時には、ほとんど「むれていない」と回答された。そこでpb-thighの階級幅1hPaごとに、むれ感の全申告のうち「むれている」を選択した比率を求め、その比率が20%以上となる最低階級をむれの知覚閾値と定義し算出したところ [22, 23)hPaであり、椅子座面条件間の差は小さかった。このことから、むれを感じ始めるのは座面条件によらずpb-thighが概ね22~23hPaに達するときであると考えられた。 生理量・心理量と椅子座面の諸物性値との関係を検証するため、物性値を得るための実測試験も行った。椅子座面にミスト水を噴霧した後、着席者を模した50kgの土嚢を乗せて座面表面湿度の経過を記録した。その挙動からむれやすさ・むれの速さ・乾燥のしやすさの目安となる3つの指標を導き被験者実験データと照合したところ、3指標とも大腿後皮膚表面湿度と有意な相関が認められた。 これにより、椅子座面の特性値から大腿後皮膚表面の湿度を推定でき、むれを感じ始める22~23hPaに至るかどうかの予測・評価に繋げられると期待される。
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Research Products
(2 results)