2020 Fiscal Year Research-status Report
ロボットアームを用いた空間構成法に関する基礎的研究
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20K12519
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
白髪 誠一 大阪工業大学, ロボティクス&デザイン工学部, 准教授 (60635382)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Robotic Fabrication / Computational Design / 竹造パビリオン |
Outline of Annual Research Achievements |
ロボットアームを用いてその可動領域内で空間を合理的に構築するための空間の形態と材料についての検討を行い,スケールモデルをロボットアームを用いて製作した。まず,空間の形態について,ロボットアームの可動領域内で最大の空間を構成するためには,直線材をしならせて形態を得るアーチ架構が適切と考え検討を行った。 材料には高弾性である竹材を採用し,しならせることでアーチ架構を形成する。想定したパビリオンは円形平面に竹のアーチを平行に並べた空間形態とした。竹のしなりによるアーチの形態を得るために,大変形問題による応力解析を行い,アーチの形態を得るとともに竹をしならせる際に必要となる引寄せ力を得た。 パビリオンの規模は,直径7.2mの円形平面で高さは約5.7mを想定した。仕上荷重により,頂部の鉛直変位が高さの1/100となるよう断面設計を行った。断面設計の結果,竹材の断面は幅120mm,厚さ48mmが適切であることが分かった。 ロボットアームを用いてアーチ架構を架設する検討を行った。使用したロボットアームは6軸垂直多関節ロボットxArm6(UFACTORY社製)で最大リーチ700mmである。最大リーチから製作するパビリオンの規模を1/6とする。円形平面は1.2mの直径で,支点間距離が0.65~1.20m,高さが0.89~0.95mとなる。この規模は,ロボットアームの可動領域の大きさとほぼ一致する。竹材は,幅5mm,厚さ2mm,長さ2400mmを使用した。パビリオンを架設するために1800mm×1800mmのステージを合板で製作し,アーチ脚部に竹材端部を差込むことのできる支点を配置した。架設過程は,ロボットアームのグリッパーで竹材の端部を掴み支点に差込む。次に竹材を掴み直して引寄せる。竹材の終端付近を掴み支点に差込むことでアーチ架構を架設することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は,ロボットアームを用いてその可動領域内で空間を合理的に構築するための空間の形態と使用材料についての検討および空間のプロトタイプをロボットアームを用いて架設する検討を行った。研究計画では,ロボットアームの可動領域内において最大な空間を構築することが可能な形態を得ること,その空間の構築に適した材料を選定すること,その空間の構築に適した構造形式を得ることを目標としていた。 形態については,ロボットアームの可動領域が球状の空間となることから,アーチ,ヴォールトおよびドームについて検討を進めた。その中で竹材をしならせて構築するアーチ架構が最適であると判断した。竹材は高弾性な部材であり,アーチ架構を構成するのに適した材料である。さらに,竹材は建築の構造材料としての使用は認められていないが,小規模なパビリオンであれば使用することが可能である。竹を活用することで我が国における放置竹林問題への解決策の一つになりうる。単体のロボットアームを用いて架構を架設する目標に対して,竹材をしならせて構築するアーチ架構は単体のロボットアームであっても架設することが可能な架構形式であり,スケールモデルのプロトタイプではパビリオンを構成する架構を概ね架設することができた。 研究目標を概ね達成することができたが,解決すべき課題も明らかとなった。竹材を掴むグリッパーは既製品を使用したが,ロボットアームが竹材を側方から掴む姿勢となるため,アーチ架構の間隔が狭い場合はロボットアームの筐体が既設のアーチ架構に干渉してしまい架設できないことが明らかとなった。竹材を掴むグリッパーの形状については,架構の間隔が狭い場所でも架設できるよう,その形状についての検討が必要である。アーチ架構は水平剛性が低くなるため,架設後のアーチ架構を安定させるために水平方向への拘束を行う必要があることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
竹材を用いたアーチ架構によって空間を構成することで,単独のロボットアームを用い,その可動領域とほぼ同規模のパビリオンを構築できることが分かった。一方でロボットアームの先端に取付けるグリッパーの形状の改善や架構の剛性を高めるために架構に拘束を加える必要がある等の課題が明らかとなった。架構形式について,竹材を用いたアーチ架構による空間構成は,架構の組合せにより様々な形態の空間を構築することが可能である。このことから,竹造アーチを基本架構として空間を構成することとする。 令和3年度は,一台のロボットアームを新たに導入し二台のロボットアームによって空間の構築法を得ることを目的とする。導入するロボットアームは,複数台のロボットアームを連携させることを目指しているため,既に導入しているロボットアームと同型とする。二台のロボットアームは,まずはそれぞれが独立して架構の構築作業を行うものとする。 令和2年度の研究において明らかとなった課題であるアーチ架構の水平剛性不足を解決するために,架構に拘束を与えるための補助的な作業を加えることを検討する。一台目のロボットアームで平行なアーチ架構を架設し,二台目のロボットアームでアーチに直交する部材を配置し,それらの部材を緊結する方法について検討を行う。 令和2年度に制作したパビリオンのスケールモデルを超える規模のパビリオンの形態および構築方法についての検討を行う。一本の部材の両端をそれぞれのロボットアームで掴んで架設することで,より規模の大きなパビリオンを構築することが可能である。このような架設方法で構築される空間の架構形式について検討を行う。
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Causes of Carryover |
モデリング用PCは,計画していた仕様のワークステーションが計画よりも安価で導入することができた。造形材料は,竹材を採用したため計画していた造形材料よりも安価で購入することができた。一方で,ロボットアーム用部品は計画よりも高額となった。以上の結果,若干の次年度使用額が発生した。 翌年度は,ロボットアームを一台導入する予定であり,これが使用額の大部分を占める。また,導入するロボットアームの制御とモデリングを兼ねたワークステーションを導入する予定である。造形材料は,竹材とパビリオンのスケールモデルを製作するための治具の費用を見込んでいる。モデリングを行うプログラムを最新の状態を保つため,バージョンアップを予定している。
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Research Products
(1 results)