2021 Fiscal Year Research-status Report
社会デザインと批判デザインとの相互関係をめぐる歴史的展望
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20K12530
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高安 啓介 大阪大学, 文学研究科, 教授 (70346659)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ソーシャルデザイン / クリティカルデザイン / グッドデザイン / 未来研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
The 4th Asian Conference of Design History and Theoryのオンライン開催のホスト校として実施にあたるととともに、研究発表 MUJI and the Aesthetics of Simplicity: A Comparative Study on Minimalist Product Imagesにおいて研究成果の一端を公表した。またこの発表は、2022年3月に同タイトルにて The Journal of the Asian Conference of Design History and Theoryにおいて公表している。従来、良いデザインの要件として「簡素さ」が主張されがちだったが、上記の論文においては、20世紀のモダニズムの機能主義の文脈からの「簡素さ」の主張にたいして、ポストモダニズムの時代における「簡素さの」意味づけのありかたを無印良品の原研哉のコンセプトをもとに考察をおこなった。不要なものを排除する「簡素さ」にたいして、多様な欲望を受け入れる「簡素さ」の考えかたや、最適化にともなうミニマリズムにたいして、自然と折り合いをつけるという意味での「掃除」の考えかたが、原研哉の場合には、日本の伝統文化に見出されるところに注目する。このようなゆきかたは、過去において未来を見出すという振る舞いの典型である。またこうした「簡素さ」の主張は、無印良品というノーブランドの「ブランディング」において折々のポスターをとおして視覚化されていることにも注目した。本考察は、本研究テーマにとって基礎的な部分をなすものとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
社会デザインおよび思弁デザインにかかわる資料調査を進めながら二つのデザインの傾向それぞれについて論文の準備をおこなってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
大阪大学美学研究室の雑誌 a+aの特集を「未来をつくる思想」として発行する。本人も、社会デザイン関係の論文と、思弁デザイン関係の論文、二本を完成させてこの特集において公表する。他、6本の論文を収録する予定である。
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Causes of Carryover |
研究成果公表のための費用
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Research Products
(2 results)