2022 Fiscal Year Annual Research Report
社会デザインと批判デザインとの相互関係をめぐる歴史的展望
Project/Area Number |
20K12530
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高安 啓介 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (70346659)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ソーシャル・デザイン / クリティカル・デザイン / スペキュラティヴ・デザイン / ウィリアム・モリス |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年5月2日にオランダのフロニンゲン大学にて、2022年5月9日にはドイツのゲッティンゲン大学にて、Design History in the Transcultural Context と題した講演をおこない、研究テーマにかかわる歴史観について議論をおこなった。2022年12月17日の第7回 ウィリアム・モリス研究会において「社会デザインの起点としてのモリスの労働観」という題名による口頭発表をおこなった。2023年2月発行『a+a 美学研究』(大阪大学美学研究室)において「社会デザインの3つの段階」と「他でもありうる未来ーデザインの想像力によせて」の2本の論文を発表した。社会デザイン(ソーシャルデザイン)の系統については、社会デザインの三段階モデルによって、従来ほとんど書かれていない、社会デザインの歴史の描きかたの一つの方向性を見出すことができた。社会デザインの歴史には、次の段階が見出される。一段階目は、労働のありかたを見直して、美しいものを生み出そうとする段階であり、社会に配慮しようとする段階である。二段階目は、消費のありかたを見直して、必要なものを生み出そうとする段階であり、社会に貢献しようとする段階である。三段階目は、生活のありかたを見直して、人と人との関係を生み出そうとする段階であり、社会を創造しようとする段階である。批判デザイン(クリティカルデザイン)および思弁デザイン(スペキュラティヴデザイン)の系統については、重要であるわりに厳密に規定されにくかった未来概念について、未来研究の議論をもとに検討をおこなった。将来どうなるのかという予想の未来でもない、将来どうあるべきかという理想の未来でもない、仮想の未来というべき未来がどのような未来でありうるのかを考察した。過剰なユートピア(ディストピア)の種類についても考察をおこなった。
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Research Products
(5 results)