2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K12531
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中薗 哲也 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (70635656)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 仮設住宅 / 自然災害 / CFD解析 / ビーズ法ポリスチレンフォーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、災害発生直後に避難者自身により簡易に組立てができ、かつ快適な温熱環境と安心・安全な耐久性と耐震性を有した避難施設の開発を目的ととしている。今年度は特に上部構造(居住空間)の研究・開発に焦点を当て、遮熱性と断熱性の向上を図り快適性の高い仮設住宅としての居住空間を目指した。当初はPOフィルム(ポリオレフィン系特殊フィルム)を想定してCFD解析により快適性を検討していたが、特に冬季にける温熱環境の改善が実現できていなかった。そこでPOフィルム以外の素材を検討し、軽さ、施工性の高さ、断熱性・遮熱性の高さからビーズ法ポリスチレンフォームが候補に挙がり、最小限の機能と広さを有した仮設住宅を想定して、まず施工方法(運搬方法、施工時のディテール、各部材のサイズ、モジュール等)、コスト(特にイニシャルコスト)、耐震性、耐久性、維持管理の難易度等について検討した。その結果、施工の難易度と完成すまでの時間はPOフィルムに劣るものの、それ以外の性能については同等かそれ以上であると判断でたので、問題であった温熱環境の検討と解析を開始することにした。 夏期と冬季の温熱環境をCFD解析によりシュミレーションしたところ、特に問題となっていた冬季において、快適性が大きく改善することがわかった。 また、POフィルムで懸念されていた自然風による揺れや変形も、ビーズ法ポリスチレンフォームでは全く問題にならないことや、事例がまだ少なく用途や施工方法も異なるが、この素材を用いた恒久的に使用されている建築物が存在することも確認できている。 以上の研究結果から、POフィルムに替わる素材としてビーズ法ポリスチレンフォームに大きな可能性があると判断できるに至った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
POフィルムに替わる素材としてビーズ法ポリスチレンフォームが候補に挙がったので、その性能を確認するために、最小限の機能と広さを有した仮設住宅を想定して、施工方法(運搬方法、施工時のディテール、各部材のサイズ、モジュール等)、コスト(特にイニシャルコスト)、耐震性、耐久性、維持管理の難易度等について検討しながら、一旦下部構造も含めて仮設住宅として建築全体の設計を行った。 当初の計画では、2020・2021年度は上部構造の研究開発を行い、下部構造については2022年度以降に検討する予定であった。 特に2020年度においては、POフィルムで進めるかもしくはそれに代わる素材ですすめるかの判断するところまでを目標としていたので、当初計画より若干進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初はPOフィルムによる研究開発を想定していたが、今年度の研究結果から、それに替わる素材としてビーズ法ポリスチレンフォームが候補に挙がっている。 2021年度は改めて、この素材を仮設住宅に使った場合の様々な性能について評価し、建築システムの研究・開発をしていくことになるが、POフィルムと比較した場合運搬性、施工性に関してはまだまだ劣っていると判断している。今後は、仮設住宅の構造にビーズ法ポリスチレンフォームを使用した場合の、運搬時の合理化、施工方法の簡易化について特に焦点を当てて研究開発を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
今年度県外でモックアップを作成する予定だったが、コロナウィルス感染予防対策に配慮して、コンピューター上でのモデリングや模型を製作することで代用した。 次年度は、今年度予定していたモックアップの作成を計画している。
|