2020 Fiscal Year Research-status Report
地域デジタルアーカイブの横断利用による地域学習教材作成支援システムの構築
Project/Area Number |
20K12547
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
奥野 拓 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (30360936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川嶋 稔夫 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (20152952)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地域学習 / 社会科 / 教材 / デジタルアーカイブ / 古地図 / Webアプリケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題で構築する地域デジタルアーカイブの横断利用による地域学習教材作成支援システムの機能の一つとして,地域史資料に掲載されている歴史的な出来事が起きた場所を古地図上に表示する機能の検討とプロトタイプによる予備評価を行った.この機能は,地域画像アーカイブに収蔵されている旧函館市街の古地図を教材として活用するものである.異なる年代の古地図を切り替えて表示できるようにし,選択した古地図の年代に近い歴史的出来事を地図上にマーカー表示する.マーカーを選択すると,その出来事の解説文と,その出来事に意味的に関連する資料のリストを函館地域の4種類のデジタルアーカイブを横断検索して表示する.古地図上に出来事を表示するためには,(1) 出来事の位置情報の推定,および,(2)古地図の幾何補正が必要となる.(1)は,地域史資料の出来事の説明文から地名を抽出し,ジオコーディングにより緯度・経度を求めるという手順により行う.(2)は,既存のGISなどの機能として実装されているため,それらを用いて行う. この方法によりマーカーを表示した古地図を使用して作成したプロトタイプを用いて,教材作成における有効性を評価する予備実験を行った.実験の結果,出来事が起きた場所を古地図にマーカー表示する方法については,概ね有効であるという結果が得られている.ただし,自由記述回答として,現在の街の様子との比較も必要ではないかという意見も得られていることから,表示の仕方についてはさらなる検討が必要である.一方で,プロトタイプでは提示される資料が限定的であり,従来のWebサイトから資料を探す方法は写真など豊富な資料を自由に閲覧することができる点で優位であるという結果が得られた.この結果より,従来の方法の代替ではなく,補完的な役割で提案システムを用いることが有用であることが示唆される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度の計画として,初等教育の地域学習教材への地域史資料の活用方法について,地元の小学校教員とディスカッションを行い,地域学習教材作成支援システムの要件定義を進めることとしていた.しかし,コロナ禍の影響により,小学校教員との連携については,計画通りに進めることができていない.また,同様にサーバ・ネットワークの構築についても2020年度に開始することができていない.
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Strategy for Future Research Activity |
予備実験により得られた知見に基づき,古地図へのマーカー表示機能の仕様を改善するとともに,実際にシステムをWebアプリケーションとして実装し,改めて評価実験を行うとともに,小学校教員による評価を実施する.また,サーバ・ネットワークの構築も開始する.なお,地域デジタルアーカイブとの連係を行うためのデータのサイズが想定よりも大きいことが明らかになったため,低コストで長期運用可能なサーバの検討も必要となった.そのため,様々な環境で稼働可能なコンテナ型のアプリケーション実行環境により実装を進める.
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Causes of Carryover |
コロナ禍に伴う研究計画の若干の遅れに伴い,2020年度に実施する予定であったサーバ・ネットワークの構築を2021年度からの開始に変更したため,機材および人件費分の使用額が2021年度分として生じた.それ以外については,概ね当初の計画に従って研究経費を使用する予定である.
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Research Products
(4 results)