2020 Fiscal Year Research-status Report
Psychological and brain scientific research on the mechanism generating rich subjective impression of scenes
Project/Area Number |
20K12574
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
河地 庸介 東北大学, 文学研究科, 准教授 (20565775)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シーン知覚 / 画像統計量 / テクスチャ合成 / 実験心理学的計測 / 脳機能計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚系が1度に処理できる物体数は最大で約7個とされている。このような従来の知見では説明が難しい多数の物体を含むシーン知覚について、視覚系はシーンを方位と空間周波数からなるテクスチャとして処理することで実現しているという報告がなされている。しかしながら、人はシーンをテクスチャではなく、種々の物体に満ち溢れた空間として感じており、実証的な知見と主観的体験の間には乖離がある。本研究はこの乖離に挑むべく、観察者の中で生成される知覚表象の内実を明らかにしていく。令和2年度は,(1) 本研究の根幹をなすシーン画像データベースの収集、(2)シーン画像の基本画像統計量(平均輝度・分散・尖度・歪度・空間周波数・局所コントラスト統計量等)の算出プログラムの作成、(3)各種フィルタ処理・テクスチャ合成処理といった画像処理プログラムの実装を終えた。そして,シーン刺激の瞬間呈示を伴う予備実験を行った。その結果,テクスチャ合成により生成された周辺視野刺激のサイズ,中心視野と周辺視野との境界が課題成績に強く影響することが考えられた。そのため,新たに,周辺視野刺激のサイズおよび刺激の中心視野と周辺視野の境界を有効視野サイズ等を考慮して作成することとした。この他,シーンにおいて特徴的と思われる因果的事象(物体の衝突)の探索・検出に関する実験,視聴覚刺激間対応に基づくシーン知覚に関する実験に着手した。また上記の一連の研究とともに,新型コロナウィルス感染症予防のため,webブラウザによるオンライン実験環境に加えてリモート実験環境を整え,次年度のさらなる円滑な実験遂行に向けた活動を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究目的の達成に向けて最も重要と考えるステップは実験刺激の作成である。それだけに令和2年度中に実験を行って,最終的に作成するべき実験刺激の完成形の見通しを立てられたことは進展とみなすことができる。また,オンラインにて実験遂行できる環境を早々に立てることができたことも今後の実験遂行に資する進展とみなすことができる。この他,当初想定していたよりもシーン知覚に関わる種々の研究を拡張できつつある点も収穫であった。以上より,本研究はおおむね順調に進展しているものと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は早々に刺激の修正を終えて,改めて実験データを集積していく。さらに同一の刺激・呈示方法を用いながら,参加者の実験課題のみを変えて研究を行うことで,課題における判断基準がシーン知覚を反映するパフォーマンスにどのように影響を与えるかについて詳細に検討していく。これらの研究成果は,国内外の学会で発表するとともに、専門誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
種々の差額が積み重なり,数百円の残金が発生した。当該残金は次年度予算と組み合わせて有効に活用したいと考える。
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Research Products
(2 results)