2020 Fiscal Year Research-status Report
意図および感情の理解における視聴覚相互作用:WH語を含んだ表現を用いた学際的検討
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20K12575
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Research Institution | Tokiwa University |
Principal Investigator |
高木 幸子 常磐大学, 人間科学部, 准教授 (60638782)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | WH語 / 言語情報 / 非言語情報 / 意図の解釈 / 文化比較 / 多感覚相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、発話者の意図や感情を聞き手が解釈する場合、非言語情報(発話における抑揚などの聴覚情報・視線や表情などの視覚情報)と言語的情報(発話の命題内容や推論から得られる意味)がどのように影響し合うかについて、そのメカニズムを文化比較的観点から解明し、各情報の重みづけに関するモデル構築を行うことである。この目的を達成するため、分析の対象は「何を食べてるの」や「なんて人だ」のようなWH語を含んだ日英語における発話表現とする。
令和2年度は、ナント型感嘆文における意外性の解釈に関する検討を行った。言語学領域における知見から、名詞タイプのナント型感嘆文においては「の」の生起が随意的であることが明らかになっている(例:「なんて〇〇なんだ!」「なんて〇〇だ!」)。この「の」の生起の随意性については名詞化辞に関わる統語論的見解(Kuno, 1980)と意外性マーカーという語用論的見解(五十嵐, 2015)がある。本研究では後者に着目し、「の」が生起しない場合と比較して、生起する場合の方が期待を上回っていると解釈される可能性が高いことを検証した。心理実験では、「の」の生起の有無を操作した名詞タイプのナント型感嘆文のセリフとともに、2種類の混合表情(①驚きと嫌悪、②驚きと喜び)を呈示し、セリフに適した発話者の表情を選択することを求めた。実験結果として、「の」の生起が有る場合に②の選択率の方が高いことが明らかにされれば、仮説が検証されたことになる。分析の結果、「の」の生起が無い場合と比較して「の」の生起が有る場合の方が、発話に適した表情として驚きと喜びの混合表情が選択される割合が高いことが示された。この結果から、名詞タイプのナント型感嘆文において「の」の生起が随意的であることに対して、解釈における意外性の指標が影響している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和2年度はコロナ禍の影響により、実験実施および成果発表に関して大幅な遅れが生じた。具体的には、年間スケジュール予定(本務校での授業開始・終了時期)の大幅な変更、授業形態の変化に伴う業務量の増加、音声及び表情刺激の収録が困難、対面による心理実験の実施が困難、学会の開催日程等の変更、が主な理由であった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度の研究の遅れを取り戻し、かつ発展させるために今後の推進方策を以下のように予定している。 (1)令和2年度の研究成果について、学会・論文等を通じて公表する。 (2)音声および表情を用いた、言語情報と非言語情報の双方を含んだ実験刺激を収録する。 (3)日本語だけではなく英語による発話を材料として心理実験を実施し、文化比較を行う。 令和2年度の経験から、令和3年度においてはオンラインでの実験実施および刺激収録に関する目処が立ちつつあるため、上記(1)~(3)を堅調に実施していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
【理由】 令和2年度のコロナ禍に関連する様々な事象(年間スケジュール予定(本務校での授業開始・終了時期)の大幅な変更、授業形態の変化に伴う業務量の増加、音声及び表情刺激の収録が困難、対面による心理実験の実施が困難、学会の開催日程等の変更など)を理由に研究進捗に遅れが生じ、これに伴って次年度使用額が生じた。 【使用計画】 令和2年度に対面実験および刺激収録が不可能だったことにより購入を見送っていた物品を購入し、計上する予定である。また、研究成果発表に伴う経費を計上する予定である。
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Research Products
(1 results)