2022 Fiscal Year Research-status Report
意図および感情の理解における視聴覚相互作用:WH語を含んだ表現を用いた学際的検討
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20K12575
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Research Institution | Tokiwa University |
Principal Investigator |
高木 幸子 常磐大学, 人間科学部, 教授 (60638782)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | WH語 / 言語情報 / 非言語情報 / 意図の解釈 / 多感覚相互作用 / オンライン面接 / 人事採用面接 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、発話者の意図や感情を聴き手が解釈する場合、非言語情報(発話における抑揚などの聴覚情報・視線や表情などの視覚情報)と言語的情報(発話の命題内容や推論から得られる意味)がどのように影響し合うかについて、そのメカニズムを文化比較的観点から解明し、各情報の重みづけに関するモデル構築を行うことである。この目的を達成するため、分析の対象は「何を食べてるの」や「なんて人だ」のようなWH語を含んだ日英語における発話表現とする。 令和4年度は、それまでの研究に引き続き①不変化詞「の」に着目した実験的検討、②条件付き謝罪に関する実験的検討、③高次社会的場面である人事採用面接を題材とした言語情報に関する分析、の3点を中心に研究をすすめた。①では、ナント型感嘆文における意外性の解釈に着目し、「なんて~(なん)だ」という意外性を示す表現における「の」の効果を検証した。具体的には、「の」が生起する場合、話し手による以外性判断を伴った驚き感情が表出されることを明らかにし、これを論文1編(査読なし)にまとめた。また、この成果は欧語論文として投稿中である。 ②では、if節を使った間接疑問を用いた条件付き謝罪(例:もし~だったらごめんなさい)に関する実験的検討を行った。条件付き謝罪と条件なし謝罪を特にポライトネスの観点から言語学的分析に基づいて比較説明し、条件付き謝罪の方が誠実性が低く、その現象は謝罪者の責任の重さに応じて変化することを量的に示した。本研究成果については、令和5年度に論文および学会発表を通じて公表する予定である。 ③では、令和3年度に引き続き、オンライン採用面接に着目し、採用面接場面での発話内容をテキストマイニングによって分析し、さらにその成果を非言語情報と絡めて検討するためELANを用いた解析をすすめた。この研究の成果は、論文1編および学会発表2件で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度は、言語情報に関する研究は順調な進捗をみせたものの、非言語情報に関する研究は①実験参加者の確保、②解析のためのソフトの選定遅れ、③機材購入の遅れ、④学内・学内業務の増加、のためにやや遅れた。ゆえに全体としてはやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
スケジュール全体の遅れを取り戻し、成果を残すために今後の推進方策を以下のように予定している。 (1)令和4年度の研究成果について、学会・論文を通じて公表する。 (2)オンライン人事採用面接で取得した非言語的情報についてAffectivaで解析する。 (3)(2)の結果について、ELAN上で言語的情報とのすり合わせと行う。 (4)条件付き謝罪について英語母語話者からもデータを収集し、文化比較検討を行う。 上記(1)~(4)を堅調に実施していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
【理由】 前年度から続くコロナ禍に関連する様々な事象(学会発表や出張に関するスケジュールの変更、学務の業務量の増加など)を理由に研究進捗に遅れが生じ、これにともなって次年度使用額が生じた。 【使用計画】 今年度は学会出張、論文投稿代など研究成果発表に伴う経費を計上し、また非言語情報分析のための機材を購入する予定である。
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Research Products
(3 results)