2020 Fiscal Year Research-status Report
抱っこのセンシングから目指す親子の非言語コミュニケーションの実体解明
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20K12580
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
吉田 さちね 東邦大学, 医学部, 講師 (90513458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船戸 弘正 東邦大学, 医学部, 教授 (90363118)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 乳児 / 体性感覚 / 心拍変動 / 親子関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
子どもの健康な心身発達には、親など主たる養育者との触れ合いが重要である。“抱っこ”は親子の非言語コミュニケーションとして推奨され、英語圏では“Hug(ハグ)”とも呼ばれる代表的な触れ合い行動である。実際、親が子を抱っこするとおとなしくなったり、子が親に抱っこをせがむことは経験的によく知られている。しかし、抱っこが推奨される直接的な学術根拠はほぼ皆無であり、意外なことに抱っこが親子に及ぼす作用は不明瞭である。そこで本研究では“抱っこ”をセンシングし「抱っこをすると親子は安心するのか」について心拍変動解析を中心に発達を追って検証した。母親の手に圧センサを装着し、生後1~11ヵ月の0歳児を①軽く縦抱き、②可愛いと思ってぎゅっとハグする、③走れる位強く抱きしめる、という接触圧の異なる3タイプの抱っこタスクをランダムに依頼した。タスク前後およびタスク中に泣いた乳児は解析から外した。その結果、生後4ヵ月以上の乳児では、②ハグされたときの心拍間隔の増加率は、①軽く縦抱き、③強く抱きしめる、よりも高くなった。同様の変化は、父親によるハグでも見られたが、見知らぬ女性によるハグでは見られなかった。一方、生後4ヵ月未満の乳児では、接触圧が大きくなると心拍間隔の増加率が下がる生理特性を有することが示唆された。得られた知見について論文発表や学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのところおおむね順調に進んでいる。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、大学での親子計測の中断を余儀なくされている。そこで参加者自宅での計測を行うために、センサ類を郵送し、遠隔での実施を進めている。合わせて深層学習を用いた画像データからの姿勢解析等の条件検討にも着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究参加者の自宅での計測も実施するため、センサ類を郵送し、引き続き遠隔での実施に向けた条件検討を進める。得られた画像の解析のため諸パラメータの設定も行う。また研究参加者や協力してくれている保育園等に向けて、アンケート調査を実施し、日常での抱っこに関する情報を得る。これまでに得られている知見をまとめて論文作成に着手する他、学会等で発表を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大をうけ、大学での計測を一時的に中断した。データ取得方法の変更に伴い、センサの追加や下処理が必要なデータ量の増加が発生し、消耗品費および実験補助アルバイトの人件費に一部変更が生じたため次年度使用額が生じた。次年度は引き続き、参加者宅での計測やアンケート調査に関する郵送費、論文投稿などに充てる。
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