2022 Fiscal Year Research-status Report
オキシトシン系PETイメージングによる社会性神経基盤の解明
Project/Area Number |
20K12586
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高橋 佳代 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (90462697)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | aromatase / estrogen / ラット / マカクサル / PET |
Outline of Annual Research Achievements |
信頼、愛着、コミュニケーションなどに関わることが報告されているオキシトシンは、一部女性ホルモン(estrogens)から制御されている。我々はこのメカニズムを生体ヒトで明らかにするため、生体内分子の挙動を定量的に測定できるPET技術を開発している。本年度は、女性ホルモン産生酵素であるaromataseのPETプローブであるcetrozoleの18F標識アナログ体について研究を進めた。 我々は、これまでにリード化合物である[11C]cetrozole、その11C標識アナログ体である[11C]iso-cetrozole, [11C]nitro-cetrozole, [11C]meta-cetrozole、および18F標識の[18F]iso-cetrozoleの評価を行ってきた。[11C]Cetrozole, [11C]iso-cetrozole, [18F]iso-cetrozoleのいずれも、脳内aromataseに特異的に結合し、結合能も高いことが示された。今年度は、[18F]cetrozoleについて、ラット脳組織を用いたbinding assayおよびオートラジオグラフィーと、アカゲザルの生体PET試験を行い、その脳内aromataseへの結合能を測定した。その結果、[18F]cetrozoleもまた脳内aromataseへ高い結合能を持っていることが示唆された。また、18F標識の化合物は11C標識の化合物に比して、代謝耐性が高いことが示された。 以上のことより、11C/18F標識cetrozole/iso-cetrozoleは、生体脳内aromataseを定量することに適したPETプローブであることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オキシトシン受容体をイメージングするPETプローブの開発については、オキシトシン受容体に特異的に結合する候補化合物を未だ探索中である。関連分子であるestrogenを産生する酵素であるaromataseをイメージングするPETプローブについては順調に開発が進んでいる。 しかしながら、COVID-19による大きな停滞により、当初予定していたヒトの臨床試験の実施は難しい。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究の総括を行う。[18F]Iso-cetrozoleおよび[18F]cetrozoleについて、データの精査、必要な場合は再解析、論文化を行う。また、新たにヒト臨床試験の可能性を探る。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響で研究の遅延が生じた。論文作成に足るデータをそろえるのに当初の予定より時間がかかった。本年度は研究を総括し、助成金で論文作成と学会発表を行う。
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