2020 Fiscal Year Research-status Report
注意の神経機構としての脳活動カップリングの解明:バイコヒーレンス法による検証
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20K12589
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Research Institution | Institute for Developmental Research Aichi Developmental Disability Center |
Principal Investigator |
木田 哲夫 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 障害システム研究部, 室長 (80419861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 絵実 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 認知症先進医療開発センター, 研究員 (30462203)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 注意 / 脳波 / 脳磁図 / 脳 / カップリング |
Outline of Annual Research Achievements |
注意は必要な情報を選択し、不必要な情報を排除する機構および機能であり、人間の社会的な営みに必要不可欠な働きである。そのため、注意は我々の日常生活において極めて重要な基礎的機能とされ、様々な脳領域の活動が注意機能に関与することが報告されてきた。一方、脳活動には活動量、周波数、位相など、様々な特性があり、個々の脳領域の活動特性に加えて、それらの相互作用(カップリングneural coupling)も脳機能の発揮に極めて重要な要因であることが明らかにされつつある。本研究は、注意処理に関わる様々な脳活動間のカップリングを検証することを目的とする。この目的を達成するため、脳波(Electroencephalography: EEG)および脳磁図(Magnetoencephalography: MEG)等で計測した脳活動に対して、バイコヒーレンスを用いたカップリング解析を行う。本研究により、脳活動のカップリングが注意の神経機構にどのように関与するのかが明らかになると推測される。今年度は、データ解析のためのシステム構築を行い、課題遂行中のデータに対して解析を行った。具体的には、ICAによるデータクリーニング作業、信号源推定およびスペクトル解析等の解析を行った。これと並行して、同データに対して複雑ネットワーク解析も行った。その結果、課題遂行中に複数の脳領域において周波数間カップリングの動的変化を認めた。また、ネットワーク指標の動態の可視化を行った。今後より詳細な検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では人間を被験者としているが、昨今の状況に伴って研究遂行に遅れが生じた。現在、計測した脳活動データの解析を中心に研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は遅れた分を取り戻しつつ、研究を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
昨今の状況に伴い、被験者からの脳活動データ計測が当初計画通りに行えなかったため、相当の執行残が生じた。また数件の学会参加を予定していたが、県外出張を全て取りやめ、オンライン参加としたため、旅費に大きな残額が生じた。この状況が今後しばらく続く可能性を考慮し、今後は効率的なデータ解析を行うための解析システムの構築ならびに状況が改善された場合の追加データ計測等に充てていく予定である。
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