2023 Fiscal Year Research-status Report
注意の神経機構としての脳活動カップリングの解明:バイコヒーレンス法による検証
Project/Area Number |
20K12589
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Research Institution | Institute for Developmental Research Aichi Developmental Disability Center |
Principal Investigator |
木田 哲夫 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 障害システム研究部, 室長 (80419861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 絵実 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 認知症先進医療開発センター, 研究員 (30462203)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 注意 / 脳波 / 脳磁図 / 脳 / カップリング / ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
注意は必要な情報を選択し、不必要な情報を排除する機構および機能であり、人間の社会的な営みに必要不可欠な働きである。これまでの研究において様々な脳領域の活動が注意機能に関与することが報告されてきた。一方、脳活動には活動量、周波数、位相など、様々な特性があり、個々の脳領域の活動特性に加えて、それらの相互作用(カップリングneural coupling)も脳機能の発揮に極めて重要な要因であることが明らかにされつつある。本研究は、脳磁図(Magnetoencephalography: MEG)等の非侵襲脳機能評価法で計測した脳活動に対して、バイコヒーレンスを用いたカップリング解析ならびに複雑ネットワーク解析(グラフ理論解析)を行うことにより注意に関与する神経機構を統合的に検証する。昨年度までに、データ解析システムの構築を行い、注意課題遂行中のMEGデータからのバイコヒーレンス値の解析を開始した。また注意課題遂行中のカップリングの基盤となる安静時のネットワーク状態を検証するために安静時MEGデータの解析を開始した。
本年度は、視覚注意課題を遂行している際の被験者から計測したMEG信号にバイコヒーレンス解析を行ったところ、異なる周波数間のバイコヒーレンス値が複数の視覚野において統計的に有意に変化することがわかった。また、脳領域間カップリングの基盤となる安静時の機能的ネットワークの全脳網羅解析を行い、その結果を論文発表した。MEGデータから算出した次数や中心性、クラスタリング係数などのネットワーク特性が周波数特異性を示すこと、その脳領域がデフォルトモードネットワークと重複すること、ネットワーク指標が年齢と相関すること等を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では人間を研究対象(被験者)としており、研究初年度(2020年度)から数年間のコロナ禍に伴って研究遂行にかなりの遅れが生じた。現在では研究状況が正常化されたが、当初の遅れが残ったままとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の遅れている分を取り戻すべく、円滑な研究遂行に努める。
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Causes of Carryover |
研究開始初年度から数年間にわたるコロナ禍の状況により学術大会等のオンライン開催およびハイブリッド開催が増えたため、国外・国内ともに研究出張が減り、その分、旅費の支出が減少した。また研究遅延のため、予定よりも予算に残額が生じている。効率的なデータ解析を進めるため、追加でワークステーション等を購入し、解析システムを構築したが、なお予算に残額が生じている。現在では正常化されており学会出張も若干の増となっている。より一層円滑な予算執行につとめたい。
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