2020 Fiscal Year Research-status Report
光イメージングによる生体内部血管の血栓形成に伴う破壊機序の解明
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20K12612
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
経田 僚昭 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50579729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田尻 智紀 富山高等専門学校, その他部局等, 講師 (10735525)
安東 嗣修 金城学院大学, 薬学部, 教授 (50333498)
秋口 俊輔 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50462130)
八賀 正司 公立小松大学, 保健医療学部, 教授 (80123305)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | LDV / AOM / 多点化 / 血流速 / 血栓 / せん断応力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題は光干渉縞を血管内に合わせることで血流速度を計測できるLaser Doppler Velocimetry (LDV) の計測原理に基づく血流異常の検出を目的とする。血流の異常については血管内に形成された血栓とその周囲の局所的な流速の変動を対象とする。血管内に血栓が形成されると、その血栓の部分は速度ゼロとなり、血栓上部では断面積縮小による流速の増大が起こる。また血栓をトリガーとして、血栓下流側、場合によっては上流側において渦を含めた複雑な流れが引き起こされる。これら局所的な速度の高低差や異常な様相の流れをLDVの原理に基づいて検出することを試みた。そのために、LDVにAcoust-optic module (AOM)を導入することでAOM-LDVを実現させ、さらに血流速度分布を取得するための多点化を行い、AOM-Multipoint LDV (AOM-MLDV)を名付けた。また、実血液を人工細流路を循環させ、その流路内部の流速分布を計測した。人工細流路には意図的に血栓を模擬した障害物を壁面に設置することで血栓形成に伴う血流速度の空間変動を計測するに至った。この空間変動から粘性係数を既存モデルで与えればせん断応力の導出までを達成できた。AOM-MLDVの構築と実血液からの血流速度信号の取得と流速の空間分布の2次元画像イメージング、さらに取得した血流速度情報からせん断応力の導出まで達成されたことを研究実績として得ることができた。次年度以降はさらなる多点化を進めながら、人工細血管で血栓の影響が血流速変動に与える影響の詳細を観察し、モデル実験を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存で保有しているLDV光学系を多点化しながらかつAOMを導入した信号取得までを達成し、実血液を用いた血流速度の導出、せん断応力の推定までを行えたことから「おおむね順調に進展している」と評価した。粘性係数のモデル化について既存のものと計測結果を連成できたことでせん断応力の推定まで達成できたことは今後の研究の推進を増長させる成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
せん断応力の推定までを本申請課題で確立した計測系統で達成できたことは今後の研究の推進に大いに役立つものであった。まずは計測系統の高度化を進める。具体的にはより多くの計測点数を実現させるための多点化と光学系の改良を進める。そして血液の特性(注目しているのはヘマトクリット値)による計測信号の変化を精査することで、血液が有する個体差が我々独自の計測機器へ及ぼす影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
流路を構成するシリコンチューブが見込みよりも少ない量(長さ)で構成できたので、必要分だけの購入にとどめて今年度の実験を終えた。しかしながら、血液を使用する実験を進める上で、繰り返し、同じチューブは使用できないので、次年度使用額として計上することとした。
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