2021 Fiscal Year Research-status Report
光イメージングによる生体内部血管の血栓形成に伴う破壊機序の解明
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20K12612
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
経田 僚昭 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50579729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田尻 智紀 富山高等専門学校, その他部局等, 講師 (10735525)
安東 嗣修 金城学院大学, 薬学部, 教授 (50333498)
秋口 俊輔 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50462130)
八賀 正司 公立小松大学, 保健医療学部, 教授 (80123305)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | LDV / AOM / 血流 / 流速分布 / 血栓 / せん断応力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、完全非侵襲条件にて血流速度の絶対値分布かつ時間変動を計測できるLaser Doppler Velocimetry (LDV)を計測基盤とする血流計を開発しながら、血管壁面に形成される血栓の検出とその周囲で起こるせん断応力を評価することを目的とする。レーザー流速計測技術の一つであるLDVは時空間分解能の高さが一般的な長所として挙げられる。一方で、一点計測であること、光干渉縞を計測原理に用いることから流速の正負方向が判別できない短所がある。特に、市販されているようなLDVでは一点計測としながら短所である正負方向の判別については解決されており、たとえば、光に変調を施す方法(特にAcousto-optic Modulator, AOM)を送光系に追加することで正負方向判別が可能となっている。本研究課題では、まずLDVを生体計測に特化したものとして波長と光学系を改良し、多点化することで、Multipoint LDV (MLDV)を構築した。LDVの多点化かつ生体計測に特化した仕様のMLDVを実験室で構築しながらレンズ設計に基づいて構築しながら、AOMを導入したAOM-MLDVを構築するまでに至っている。特に、本研究課題での目標の一つであるせん断応力の評価については多点で同時に流速分布を計測することが求められることから、せん断応力評価システムの基盤を整えることができたと言える。計測対象として実際の血液を用意して、まずは人工的な模擬流路で血栓を模した突起が流路壁面に形成されているものから計測を行い、作動流体(血液)の性状と計測信号の関係を見出すことが短期目標であり長期的な目標として血栓が形成された流路における流速計測・せん断応力の評価までを達成する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、808 nmのレーザー光を用いて、レンズの種類・寸法・配置をパラメーターとした光路設計によって計測領域となるレーザー光の干渉縞形成領域を拡大し、かつ、受光部となる光ファイバーの配列を干渉縞形成領域と計測対象に合わせて比較的高い自由度のもとでの送光・受光部の構築ができた。血液を用いた計測にも目処を立てていることから「おおむね順調に進展している。」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで構築した光学系を用いて、引き続き、血液流れの計測と血栓周りの計測を進める。過去に、模擬的に血液中に血栓を形成する方法として、ローズベンガルや波長532 nmのグリーンレーザーにて可能であることを検証した実績がある。生体計測を見越したグリーンレーザーを本研究テーマに導入する予定である。
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Causes of Carryover |
共同研究者との対面での打ち合わせを想定した旅費に関して、遠隔での打ち合わせに切り替えたために執行しなかったことが、次年度使用額が生じた理由である。併せて、血流計測構築のために光学系の予算を計上した物品費についても既存のレンズで設計通りの光路を形成できた成果から物品費の執行を抑制できた。一方で、グリーンレーザーを用いた実験の方向で最終年度に取り組むため、グリーンレーザー用の光学系構築を主たる使用目的として計画を立てている。
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