2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K12620
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
秀島 翔 信州大学, 先鋭領域融合研究群先鋭材料研究所, 准教授(特定雇用) (10580433)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 電気化学バイオセンサ / 垂直配向膜 / 導電性ナノシート / 多孔質電極 / 表面修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、電極表面積とレドックス特性の向上が期待できる垂直配向導電性無機ナノシート電極を作製し、幹細胞の安全性評価に係るバイオマーカーを高感度検出することを目指す。令和2年度は、導電性無機ナノシートである遷移金属炭化物MXeneを電気泳動堆積法および凍結乾燥することで得られた垂直配向ナノシート電極の電気化学特性を評価した。まず、合成したナノシートを用いて垂直配向膜と水平配向膜を作製し、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。作製した垂直配向膜の形態は厚さ約250-300マイクロメートル、細孔径約20-30マイクロメートルであった一方で、水平配向膜は厚さが約3マイクロメートルであり、細孔は有していなかった。続いて、垂直配向ナノシート電極と水平配向ナノシート電極の電気化学特性を、レドックスプローブであるヘキサアンミンルテニウムを含んだリン酸緩衝生理食塩水を用いてサイクリックボルタンメトリーにて評価した。その結果、いずれの電極からもレドックスプローブの酸化還元に由来するレドックスピークが確認された。垂直配向ナノシート電極は水平配向ナノシート電極と比較して、得られる電流密度が高く、半波電位は小さい値であった。これらの結果から、ナノシートを垂直配向させて多孔質化した電極を用いることで、電解質中のレドックスプローブの拡散性を向上できることが示唆された。さらに、バイオマーカーの特異的検出に向けて、ナノシート表面へのアミノ基末端有機分子膜の導入および受容体分子の固定化に関する検討に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多孔質の垂直配向ナノシート電極を作製することに成功し、水平配向電極と比較して、高い電気化学特性を有することが確認できた。また、次年度に向けて、受容体固定の足場となるナノシート表面への有機分子の導入が確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した垂直配向ナノシート電極の表面に所望の受容体分子を固定化することで、バイオマーカー捕捉能を有するセンサ固定化界面を具備したバイオ電極を作製し、幹細胞評価への応用可能性を示す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症のため学会等の出張がなくなり、旅費の支出が少なくなった。研究開発の効果的な推進に向けて、薬品や実験機器の購入を増やすこと、および論文投稿料や英文校正のための謝金として使用することを計画している。
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