2020 Fiscal Year Research-status Report
立位姿勢制御における前庭覚の役割を段階的・定量的に解明する新規な評価法の開発
Project/Area Number |
20K12628
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
常盤 達司 広島市立大学, 情報科学研究科, 講師 (00636219)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 立位姿勢制御 / 前庭覚 / 音刺激 / めまい・ふらつき |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,立位姿勢制御における前庭覚の役割を段階的・定量的に解明することを目指し,音入力を用いた前庭覚機能及び立位姿勢制御機能の新たな評価法を提案・開発することを目的としている.本研究は,以下に示す主に4つの段階から構成されている.1)強大音呈示システムの構築,2)刺激音の周波数ならびに音圧の校正,3)校正された強大音を用いた前庭誘発筋電位の計測,4)校正された強大音を用いた重心動揺並びに脳活動の計測である.
本研究初年度は,コロナ感染拡大防止のため対面での実験が一部制限されたことから,十分に実験できない状況であった.そこで,以下に示す2種類の刺激呈示システムを構築した.具体的には,a)当初計画していたヘッドホンによる音呈示システム,b)当初計画していなかった新たな刺激方法である加振器を用いた刺激呈示システムを構築である.a)音呈示システムの構築では,ファンクションジェネレータで作成されたホワイトノイズ及び純音をオーディオアンプ経由でヘッドホンにて呈示した.呈示された音の周波数特性,音圧を計測し,所望の特性を持つことを確認した.b)新たな呈示方法の検討では,加振器(B&K)を購入し,頭部の所望の位置に加振器を固定する治具の設計製作,前庭覚刺激に最適なパラメータを探った.この加振器を用いた実験システムは次年度以降も開発を続ける予定である.
これら2種類の実験システムを用いることで,本研究課題の核心をなす学術的問である「音により活性化される前庭覚は立位姿勢制御に有効であるのか」を様々な知見から考察できる可能性があると考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の計画では,a)音入力システムの構築と,b)音と前庭覚の関係を解明する予定にしていた.
a)音入力システムの構築では,当初の計画通りシステムを構築し,さらに新たな呈示法を検討しシステム構築に取り組んだ.一方で,b)音と前庭覚の関係調査では,呈示音が前庭覚に与える刺激効果を定量的に計測評価するまでに至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
立位姿勢制御における前庭覚の役割を段階的に評価するために,本研究2年目では,前庭覚と立位姿勢の関係を定量的に計測評価する.具体的には,音及び振動入力と前庭覚機能(誘発筋電位)との関係を調査する.さらに,刺激入力に対する重心動揺の変化を計測し,音や振動刺激に対する重心動揺制御の関係を調査する.
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Causes of Carryover |
「研究実績の概要」に記述した通り,当初の計画に加えて,新たな刺激呈示方法を検討し,システムを構築したため,当初計上していた予算では不足する可能性があり,前倒し支払い請求を行った.一方で,当初の計画にあった機器の購入を検討したところ,検討時期が遅かったこともあり,年度内に納品される可能性が低かったため,初年度の納品を見送った.該当機器は,次年度早々に発注予定である.
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