2021 Fiscal Year Research-status Report
Functional Evaluation of Spinal Cord by Transcutaneous Spinal Cord Evoked Potential Measurement and Multichannel Signal Analysis
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20K12632
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
京相 雅樹 東京都市大学, 理工学部, 教授 (20277825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島谷 祐一 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (20154263)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脊髄電位計測 / 体表面 / 電気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄からの電気信号の体表面からの計測を、ラットおよびヒトを対象として実施した。ラットについては今後脊髄損傷下における体表面電位の変化を計測、分析する計画であり、ヒトにおいての計測も試みるのは将来的な応用対象がヒトであることから、ヒトにおいても体表面からの脊髄電位計測が行えることを示す必要があるためである。また、ラットから得られた信号とヒトから得られた信号がどの程度異なるのかを評価するためにも必要であることから、これらの実験を実施した。 脊髄に沿って複数箇所の計測を実施するため、ラットについては小型の電極を作成して背部皮膚表面に配置できるようにした。刺激は電気刺激として後肢あるいは脚部に与え、その反応を多チャンネル計測した。当初から、微少な振幅となることが予想されていたため、まずは簡易的な微小信号の検出手法として同期加算法を用た検出を試みた。 その結果生理学的に妥当な潜時で感覚刺激による脊髄誘発電位を確認することができた。一方で、先行研究や臨床において行われている硬膜外における計測等の直接計測の結果に比べ、波形の先鋭度が低くなっていることも明らかになった。つまり、一過性の反応である誘発反応が広い時間帯に分散するような波形となり、従来の脊髄損傷時の損傷度判定に用いていた潜時あるいは振幅による波形特徴の評価が困難と思われるような状況であった。このような結果を受けて、電極配置や誘導法を変更したり、同期加算前の波形を観察したりすることにより、これを改善する方法を模索している状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
補助を受けた初年度の研究が、新型コロナウィルス蔓延の影響を受けて大幅に遅れたことが2021年度までの進捗に影響している。 また、計測された信号の品質が、考えていたよりも良くなかったこともあり、計測データの解析に移る前に計測システムの見直しを考える必要が生じたことも要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず現在進めている計測方法、計測条件の見直しを早急に完了させ、同じ測定条件の下でデータの蓄積が行える状況に移行する。その上で計測データを分析する方法について検討する。 計測データの分析としては、刺激への反応が脊髄の走行方向に沿って進んでゆくことを利用し、脊髄内を進む興奮の伝導が時間的に、波形的にどのように変化してゆくのかが分かるような解析方法を考えている。単純な方法としては、相関法、ウェーブレット解析のような手法を考えているが、電極を走行方向のみでなく、走行方向に対して直交する方向にも配置し、マトリクス状の電極配置により計測された電位についての解析も考えているため、新たな複数信号の解析手法についても検討しようと考えている。 分析、解析手法の検討とともに、脊髄損傷下のラットにおける体表面からの脊髄電位計測も実施する予定である。実験で得られたデータは、興奮の伝導を評価する新たな解析手法で処理し、損傷の状況が解析結果として現れるかどうかについて評価を行う。さらには蓄積したデータを用いてさらなる解析手法の改良を試みる。
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Causes of Carryover |
わずかな残が生じたが、額が些少のため、次年度の使用計画に関しては大きな変更は生じないと考えている。 使用計画としてはまず,成果発表を積極的に行いたいと考えており,このための学会参加費,旅費の拠出を予定する。物品費としてはまず,脊髄損傷時の信号計測を実施するに当たり,動物実験にかかる消耗品費の購入を考えている。またこれまで行ってきた実験の結果得られたデータの状況を鑑みると,信号計測系を強化する必要があり,そのための物品購入も行う予定である。
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Research Products
(3 results)