2021 Fiscal Year Research-status Report
小型動物を用いた段階的に分析可能な人工視覚実験系の確立
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20K12633
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
増田 明 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 佐藤匠徳特別研究所, 研究員 (30612121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春田 牧人 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (40733663)
高橋 晋 同志社大学, 脳科学研究科, 教授 (20510960) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 人工視覚 / 視覚野 / 光遺伝学 / 神経活動イメージング / 行動評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、視覚を取り戻す治療法として、「低侵襲な人工視覚」として「脳外部からの光遺伝学的刺激」に着目し、その有効な刺激方法を見出すための手段として、①動物における神経活動の刺激時の活性化動態と②刺激誘導される視覚応答の神経活動イメージングとを結びつけ、統合的に理解を深めるものである。 本年度は、「人工視覚分離課題」をラット頭部固定下でのデュアルリッキングシステムによる行動実験において試験的に稼働させた。「人工視覚分離課題」とは、脳一次視覚野へ光刺激を与えたときの刺激部位の違いを動物へ学習させる新規の分離学習課題である。 ラットの左右脳半球それぞれの視覚野神経細胞にアデノ随伴ウイルスベクターを介して神経細胞を活性化させる光駆動タンパク質であるChRmineあるいは抑制化させる光駆動タンパク質であるJawsを発現させ、620nmのレーザー光にて頭頂付近から左右どちらかの一次視覚野へ照射することで光遺伝学刺激の系を構築した。そして、その刺激に応じて1本のリッキングバーへラットがリッキングを行った報酬として水を与えるように行動学習課題を設定した。パルアルブミン陽性抑制性細胞(PV)に選択的にJawsを発現させたラットにおいて、課題を与えたところ、正答率はトライアル実施数増加によって統計的有意に上昇したことから、一定の分離学習が成立することが確認できた。 脳活動イメージングの実験として、小型イメージングデバイスMiniscopeのバージョン4を組み立て、視覚野神経細胞で発現させたGCaMP系シリーズのカルシウム標識センサータンパク質の観察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度前半で予定していた人工視覚刺激を用いた行動評価系を部分的に構築し、予備的な試験は完了した。年度後半は、研究代表者の異動に伴い、新規環境において実験環境の構築に大きな労力と時間を割いた。
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Strategy for Future Research Activity |
諸問題から新年度より、奈良先端科学技術大学院大学に異動し、そこで認定される範囲で研究を継続する。令和3年度に構築した慢性的な行動試験のための研究実施環境が使用できなくなったこと、またその時間的喪失に伴い、急性かつ短期間に測定および解析可能な実験系で研究に取り組むこととする。具体的には、光遺伝学的な人工視覚による視覚関連反応中あるいはそれによって誘導される行動中の脳活動をイメージングするという方法で解決する。
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