2020 Fiscal Year Research-status Report
2-Dimensional fibrin aggregation imaging using birefringence phase difference
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20K12635
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Research Institution | Numazu National College of Technology |
Principal Investigator |
横山 直幸 沼津工業高等専門学校, 制御情報工学科, 准教授 (90710591)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 血液凝固 / 複屈折 / 吸光 / 人工心肺 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の基本的概念である「血漿(血液の液体成分)の吸光」「血漿の複屈折」の時間的差異について、同時計測が可能となる実験系を構築した。具体的には、まず、光学ステージ上に直交する2軸の光学系を設置し、公差する座標にガラス毛細管が設置できる実験装置を作成した。次に、1軸は単色レーザと受光器を中心とした吸光計測システム、2軸はレーザと受光器の間に1/4波長版と偏光子を介した複屈折位相差計測システムとした。 本装置の精度を実験的に評価した結果、ガラス毛細管の設置精度に課題が残っていることが判明した。具体的には、ガラス毛細管の治具において隙間が光軸に対する角度を生成し、吸光計測軸と複屈折計測軸が垂直に入光しない、という問題が存在する。また、ガラス毛細管に血漿を注入する際に、ガラス毛細管表面の油脂分が計測結果に影響を及ぼすことも分かった。 上記課題は治具の加工精度調整または、新規治具の設計により改善が期待されるため、次年度はこの点をまず解決した後、血液凝固(抗凝固血漿にカルシウムを添加することで惹起)現象と吸光・複屈折の時間的な位相差を定量することとする。 なお、吸光のみの実験系、複屈折のみの実験系の構築は成功しており、抗凝固処理を施した豚血液から抽出した血漿を用いた実験では、赤外光の吸光による受光器の電圧降下と、複屈折により生じる電圧降下との間に数分の時間ずれが確認できている。今後、同一の試料に対する吸光・複屈折の同時計測が実現されれば、血液の特性(PT、APTT)と吸光-複屈折時間との関係が定量できると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
光学ステージ上の光軸あわせに難渋しており、今年度行う予定であった時間分解計測に着手できていない。光軸の精度は、計測軸の多軸化における決定的な要素であるため、時間がかかっても精度と再現性のある実験システムを構築することが大切である。 パンデミックの影響で作業を依頼していた卒研学生が登校できなかったことも要因の1つである。
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Strategy for Future Research Activity |
実験装置の制作において、研究室学生は「職人的な器用さと繰り返し」により光軸の調整を行うことで実験の精度向上を目指してしまい、ともすればチャンピオンデータの作成に取り組んでいるような状況であった。指導教員(研究の主担当)としてこれに気づくのが遅れ、科学的研究方法として不適切であることの指摘が当該年度の後半になってしまった。 今後は再現可能なシステムの設計に時間をかけ、同様の失敗を繰り返すことのないように指導を心掛ける。また、できるだけ打ち合わせを密にし、装置の制作にも積極的に介入することで、研究倫理についても教育していきたい。
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Causes of Carryover |
今年度は実験系の構築に失敗し、実験系の改良までに多くの時間を消費してしまった。その後、実験系の再設計を進めているが、これらを制作するための物品購入には至っておらず、特に連続データ計測用に支出予定であったコンピュータや、実験時に必須の科学薬品の購入を行うことができなかったため、次年度使用額が生じてしまった。
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