2020 Fiscal Year Annual Research Report
立体器官の再生医療への応用に向けた灌流培養技術の開発
Project/Area Number |
20K12637
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
石川 潤 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (30755369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横川 隆司 京都大学, 工学研究科, 教授 (10411216)
辻 孝 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (50339131)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 立体器官 / 灌流培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、生体外において立体器官の育成、成熟化を実現するために、立体器官の構築に必要な血管構造を規定するパラメータ―の解析や、生体外における血管構築技術の確立と器官原基への血管連結、培養液の改良による生体外における器官育成環境の構築を進めた。 立体器官の構築に必要な血管構造を規定するパラメータ―の解析を行うために、血管造影法と高解像度イメージングにより、血管の径や分岐角度、体積、血流速等のパラメータの定量を行った。その結果、部分肝切除直後において類洞血流速が急激に上昇し、その後血管体積と表面積の変動が生じること、また、分岐角度は肝再生過程において変動を生じないことが示された。また、生体外における血管構築技術の確立と器官原基への血管連結にむけて、生体をモデルとして移植利用可能な広径血管と歯胚原基の連結が可能であることを示したとともに、生体外において同様の血管連結を生じさせるためのデバイスをシリコンブロック等を用いて試作した。この試作デバイスへ生体血管を連結し、7日間の灌流培養を行った結果、血管構造の維持が認められ、広径血管と器官原基を生体外において連結する基盤技術として利用可能であることを示した。生体外において立体器官を構築するためには、生体血液と同等の培養液が必要となることから、培養液の改良による器官育成環境の構築を行った。細胞培養に用いられる複数種の培養液の組成を検討したとともに、高分子化合物を添加することにより生体の血漿と同等の粘度、浸透圧を有する培養液を構築した。 以上の結果から、生体外において立体器官の育成、成熟化を実現するために必要となる培養技術の基盤技術が構築され、将来的な立体器官培養法への発展が期待される。
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