2020 Fiscal Year Research-status Report
人工心臓内で生じる非生理学的高せん断応力が出血と血栓形成に与える影響のメカニズム
Project/Area Number |
20K12639
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
丸山 修 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 総括研究主幹 (30358064)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 人工心臓 / せん断応力 / 出血 / 血栓 / 血液凝固因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で、研究の実施自体が難しく、全体的に計画通りに研究を進めることが極めて困難であった。本研究は、重症心疾患患者を救命するための人工心臓を装着した患者の合併症として引き起こされる出血および血栓塞栓症について、機械式の人工心臓内で生じるせん断応力がこれらの出血や血栓形成にどのようなメカノケミカルなメカニズムで関連しているのかを学術的に解明するものである。そのためには、研究計画調書に記載の通り、2020年度の最初の計画として、せん断応力を負荷するせん断負荷装置を製作することであった。このせん断負荷装置を利用することで、試験血液に定量的なせん断応力を負荷することが可能となり、血液中に必ず存在するはずのせん断応力応答因子を見出し、その活性を求めることができる。しかしながら、新型コロナウイルスの影響により、装置の製作を予定していた事業所が、ほとんど機能できず、年度内の製作がかなわなかった。さらに、出勤率の低下を促されていた期間も長く、研究準備も十分にできなかった。しかしながら、2021年度および2022年度で、効率的に実験を実施できるよう研究計画の再構築を行った。また、実験実施をできないこの期間を無駄にすることがないよう、関連する文献調査を詳細に実行した。この成果は、本研究テーマを学術論文としてまとめる際に、より論理的で完成度の高い内容で発表ができるものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上記のとおりであり、新型コロナウイルス感染症拡大により、2020年度の研究進捗はほとんど進まなかった。オンライン作業では十分なせん断負荷装置の設計は難しいが、社会情勢の好転に期待し、入念に準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度では、まず本研究に必要不可欠であるせん断負荷装置の製作を実現させることから始める。試験血液として、2022年度に計画していたウシおよびブタ血液を使用した実験を先行して進め、ヒト血液についての実験は、計画変更が生じたため、2021年度に改めて日本赤十字社からの譲渡が可能となるように計画する。
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Causes of Carryover |
上記の理由により、2020年度は本研究実施に必須のせん断負荷装置の製作が不可能となった。そのため、せん断負荷装置の製作費について、2021年度の使用として計画している。
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