2022 Fiscal Year Annual Research Report
人工心臓内で生じる非生理学的高せん断応力が出血と血栓形成に与える影響のメカニズム
Project/Area Number |
20K12639
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
丸山 修 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 総括研究主幹 (30358064)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 人工心臓 / せん断応力 / 出血 / 血栓 / 血液凝固因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、新型コロナウイルスの影響により、令和3年度に予定していたせん断負荷装置の設計・製作、およびウシ・ブタ血液の血液凝固能に関する基礎実験を実施した。その結果、本実験計画で予定していた最高せん断応力120Paを、安定して血液試料に負荷することに成功した。また、せん断負荷装置を用いた血液試料へのせん断負荷において、せん断負荷装置の構成部品である内筒を、静止している外筒に対して非接触で回転させることによって、本研究課題の一つであった血液試料に対する空気の巻き込みを防ぐことに成功した。また、ヒト血、ウシ血およびブタ血について、せん断応力応答因子を同定するのに先立ち、血小板系、線溶系および凝固系に関連する全29のマーカー評価を網羅的に行った。その結果、ウシ血液においては、凝固系のマーカーであるフィブリン・フィブリノゲン分解生成物、Dダイマー、フィブリンモノマーと、線溶系のマーカーであるプラスミノーゲン活性(PLG)以外の全マーカーが、ブタ血においてはPLG以外の全マーカー が、ヒト血と同様に計測可能で、同様に評価できることが明らかとなった。 令和2年度および令和3年度は、新型コロナウイルスの影響によって、研究計画は大きく遅延してしまったが、最終年度の令和4年度において、本提案者自身が大きな病気に罹患してしまい、入院・手術を経て、現在も治療中である。そのため、学会発表および論文発表がかなわなかった点は大変残念であった。しかし、本研究の学術的問いを突き止めるためのせん断負荷装置を完成させることができ、またヒト血、ウシ血およびブタ血において、血栓形成および出血に関するマーカーの計測可否を明らかにすることができた。今後の追加実験により、本研究目的を達成できるものと考えている。
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Remarks |
本研究の前段階の研究課題として、平成28年度~30年度で採択された科研費挑戦的萌芽研究 (16K12923)」を実施した。本研究計画の基礎となるものであるが、その研究成果として以下の国際誌が2022年度に掲載された。Ko Sakatsume et al, ASAIO Journal 2022; 68: 1128-1134
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