2020 Fiscal Year Research-status Report
再生医療等製品の細胞材料における媒介物質エクソソームを用いた機能評価法の確立
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20K12641
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
沖田 ひとみ 東北大学, 大学病院, 助手 (30400451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 貴子 (斎藤貴子) 東北大学, 大学病院, 助教 (10375173)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 再生医療等製品 / 品質検査 / 体性幹細胞 / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
再生医療等に用いられる体性幹細胞は多分化能だけではなく、抗炎症効果、増殖因子の分泌、血管新生促進作用のような組織修復効果に重要な生物活性を有し、分泌される生理活性物質を利用した研究や、臓器の障害・機能低下を修復改善する細胞治療等に利用されている。また、腫瘍化のリスクが低いので、安全性も高く評価され、既に細胞加工物(造血幹細胞・角膜・皮膚等)としての実績もあり、組織からの細胞の採取法や培養法が確立しているため、比較的容易に用いることが出来る。しかしながら、継代培養や凍結保存処理が細胞の分化能に影響することがあり、機能保持や品質のコントロールが大変困難である。このように使用できる細胞には有限性があり、多くの場合が初代培養で利用されている。そこで、細胞を用いる事なく分化能や機能に関する品質評価を迅速かつ正確に行える評価方法を確立することが今回の研究の目的としている。 これまでにMSC中のSSEA-3マーカーの増減は培養中のコンディションで変化が起こることが本研究の実験結果より確認されている。そのコンディションの変化を細胞培養上清中のエクソソームの分泌量を観察することで、SSEA-3の変化との関係性を検討した。MSCの培養上清からPSアフィニティー法によりエクソソームを抽出した後、フローサイトにてテトラスパニンマーカー(CD9,CD63, CD81)の発現量を測定した。その結果、培養中のSSEA3マーカーの増減とテトラスパニンマーカーCD81の増減に相関性があることが確認された。このことから、エクソソームマーカーを使用した培養細胞の経時的変化や、形質的な変化の観察を細胞を用いる事無く行うことが出来ると考える。今後はSSEA-3とCD81の変化によっておこる内因性因子を調査し、幹細胞性の維持を確認できる項目について検討を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究として、エクソソーム抽出方法の検討と培養上清中のエクソソームの質的、量的変化の観察を予定しており、MSC培養上清からの効率的なエクソソーム抽出法としてPSアフィニティー法を選択した。この方法により、これまでの超遠心を用いた勾配法で約30時間程かかる抽出方法を、2時間程度に短縮することが出来る。また、抽出したエクソソームは直接フローサイトで使用することが出来るため、当日中の解析も可能となった。 また、培養上清中のエクソソームの放出及び抑制の変化に関しても、幹細胞マーカーとテトラスパニンマーカーを用いた解析により、相関性があることを確認できていることから、進捗は概ね順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞の初代培養から連続継代での細胞の形態変化に伴う、分化能力、免疫抑制特性および免疫調節機能因子の産生を調査する。また、胚性幹細胞マーカー(HLA-1, HLA-G,Nanog,OCT-4,HSC70等)を使用し、分化能の評価を行う。これらマーカーの定量及び解析はフローサイトメトリー、免疫染色を用いて行う。その結果、特徴的、且つ顕著な傾向が表れた場合は、培養上清中のエクソソームからmicroRNAの解析を行い、分化能力及び形質変化の指標を探索する。さらに、HSC70とテトラスパニンマーカーは共局在しており、HSC70は酸化ストレスマーカーであることから、培養液中のエクソソームの分泌にも変化が起きることが予想される。そこで、継代による形質変化の検討の他に、酸化ストレス等の外的要因がもたらす細胞の形質変化とエクソソームのの発現の変化の関係性を調査し、機能保持の指標となるか検討する。
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