2022 Fiscal Year Annual Research Report
毛細血管網を有する歯肉モデル組織を用いた歯周病菌感染機構の解明
Project/Area Number |
20K12646
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐々木 尚子 大阪大学, 大学院工学研究科, 特任研究員(常勤) (10388762)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 典弥 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (00419467)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 歯周病菌感染歯肉モデル組織 / 血管網構造 / P. gingivalis / コラーゲンマイクロファイバー (CMF) |
Outline of Annual Research Achievements |
三次元歯肉モデル組織は、足場材料にコラーゲンマイクロファーバーを用い、血管網構造を有する結合組織層の上に、上皮細胞層を積層して作製した。この組織に、歯周病の原因菌である P. gingivalis を感染させた系を歯周病菌感染歯肉モデル組織とし、P. gingivalis が歯肉組織深部へ侵入するメカニズムの解明に取り組んだ。 まず、歯周病菌感染歯肉モデル組織を多重蛍光免疫染色法で染色し、画像解析することにより、P. gingivalis は上皮細胞層を通過し、結合組織層内で血管網構造を形成している血管内皮細胞まで、到達していることが確認できた。このことから、結合組織層の血管内皮細胞等から分泌される因子が、P. gingivalis が血管網構造へ感染するための誘引因子となっている可能性が考えられる。そこで、歯肉モデル組織における 55 種類の血管新生関連因子の発現について、組織の培養上清を用いて発現解析を行った。その結果から、血管新生の促進因子として知られる血管内皮細胞増殖因子や IL-8 など、15 種類の因子を誘引因子の候補とすることができた。 さらに、P. gingivalis の感染菌数が異なる条件下で作製した歯周病菌感染歯肉モデル組織を用いて、結合組織層内における血管網構造形成の変化について解析した。その結果、非感染歯肉モデル組織より、歯周病菌感染歯肉モデル組織の方が、結合組織層における血管網構造の形成が促進される傾向が見られた。また、低感染菌数であっても、血管網構造の形成率は、培養時間依存的に低下する傾向が見られた。以上の結果から、P. gingivalis の感染と血管網構造の形成の間に、関連性がある可能性が示唆された。
|