2022 Fiscal Year Annual Research Report
後眼部指向型ナノ粒子点眼剤の設計に向けた粒子構造及び眼内移行性解析と至適処方構築
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20K12652
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
高島 由季 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (70236214)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 網膜色素上皮細胞 / リポソーム / siRNA / 血管内皮増殖因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中途失明の原因上位となる網膜疾患に対し、その発症要因の一つである新生血管因子VEGFの産生を阻害する核酸(siRNA)又は低分子薬物を搭載する低侵襲的な投与が可能な後眼部指向型のナノ粒子点眼剤の設計を目標としている。本研究では主にsiRNAの網膜への低侵襲的送達について検討を進めてきた。2022年度は、前年度に網膜指向性の付与が期待されるヒアルロン酸(HA)をリガンドとしたリポソームがCD44受容体を高発現するラット網膜色素上皮(RPE)細胞に対し受容体介在的に取り込まれることを確認したことを踏まえ、ラットへの点眼による眼内挙動ならびに網膜への移行性を評価した。比較対象としてHA修飾高分子ナノミセルを用いたところHA修飾リポソームとすることで顕著な網膜移行性を示すことが判明した。また、多機能性ペプチドを付与することでリポソーム表面と機能性ペプチド鎖の双方にsiRNAが搭載された構造となることが確認され、RPE細胞評価系において有意なVEGF産生抑制作用を示す要因のひとつと推察した。ラットへの点眼評価において、リポソームへの機能性ペプチドの修飾は点眼後の眼内移行性を向上し、特にsiRNAの保持能及び細胞透過能に寄与するアルギニン及びシステインを含む機能性ペプチドで構成されるリポソームが、血管新生モデルラットへの点眼において、有意に網膜でのVEGE産生が抑制可能であることを示し、siRNAの搭載率、細胞内挙動、点眼後の眼内移行性、粒子特性の検討結果より点眼投与による後眼部への核酸送達を可能とするナノ粒子点眼剤としての至適処方を確立した。
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Research Products
(2 results)