2020 Fiscal Year Research-status Report
Treatment of chronic arterial occlusion with biodegradable nanoparticles encapsulating anti-miRNA oligonucleotides
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20K12654
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石原 務 日本大学, 工学部, 教授 (70349554)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 核酸医薬 / miRNA / ナノ粒子 / 血管新生 / AMO |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アンチmiRNAオリゴ核酸(AMO)のような核酸分子を用い下肢慢性動脈閉塞症の治療を目指す。核酸分子を疾患部位に効率的に届けるため、そのキャリアとして生分解性ポリマーからなるナノ粒子を作製する。標的とするmiRNAは、miRNA-15aとmiRNA-16を選定した。これらは、VEGF受容体やFGF受容体、VEGFの発現を抑制し血管新生を阻害する働きがある。これらのmiRNAに対するAMOとしてS化オリゴDNAを合成した。 AMOを内封したナノ粒子はこれまで確立してきた手法(O/W型溶媒拡散法)により作製した。調製時のポリマー濃度を変えることで、AMOの封入率や粒子径を制御できることが明らかになった。さらに、標的細胞である血管内皮細胞への集積性を高めるため、ナノ粒子表面にリガンド分子の修飾を試みた。ピリジルジスルフィド基を末端に有するポリエチレングリコールとポリ乳酸のブロックポリマーを用い作製したナノ粒子懸濁液に、システインとRGD配列を有する環状オリゴペプチドを添加することで、リガンド分子をナノ粒子表面に修飾した。蛍光ラベルしたナノ粒子を用い不死化ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUEhT細胞)との相互作用を解析したところ、非修飾のナノ粒子はほとんど取り込まれなかったが、RGDペプチド修飾ナノ粒子は顕著に細胞へ取り込まれた。また、フリーのRGDペプチドを共添加することでその取り込みが阻害されたことから、ナノ粒子はインテグリンを介したエンドサイトーシスにより細胞に取り込まれていることが示唆された。 さらに、市販のトランスフェクション試薬を用いAMOをHUEhT細胞に導入し、細胞の管形成能を観察した。その結果、miRNA-15aとmiRNA-16に対するAMOを添加すると管形成能が高まったことから、これらのAMOが血管新生を誘導する働きを有することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画にて本年度実施予定のAMOの選定、ナノ粒子の作製、ナノ粒子の細胞への取り込みは予定通り実施し終了した。また、ナノ粒子からのAMO放出挙動と細胞毒性評価は本年度実施できなかったが、次年度実施予定としていた管形成能の評価試験に既に着手し進行している。以上より、本年度はおおむね順調に進行できたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、ナノ粒子からのAMO放出挙動を解析する。AMOを封入したナノ粒子の希釈血清懸濁液を37℃でインキュベートし、経時的にナノ粒子内に残るAMOをHPLCにより定量する。この結果から、最適な基材ポリマーの組成を決定する。最適化したナノ粒子をHUEhT細胞に添加し、WST-8およびLDH試験から細胞毒性を評価する。細胞毒性が高いようなら基材ポリマーの組成を再検討する。 さらに、培養細胞系での遺伝子発現および薬理効果評価を実施する。AMOを包埋したナノ粒子をHUEhT細胞に取り込ませ、血管新生に関わる遺伝子(VEGFやFGFなどの増殖因子とその受容体、アンギオポエチン、MMPなど)の発現をELISAなどで解析する。加えて、ナノ粒子を添加した際のHUEhT細胞の管形成能も評価する。これらの試験から、最適なAMOの種類や配列、長さを決定する。
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Research Products
(2 results)