2020 Fiscal Year Research-status Report
Creation of carrier nanoparticles for intracellular delivery by Lab-on-a-Chip
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20K12656
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
武岡 真司 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20222094)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アミノ酸型脂質 / マイクロ流体デバイス / ナノ粒子 / リポソーム / フローマイクロ合成 / Lab-on-a-chip / 脂質ライブラリー / 薬物運搬システム |
Outline of Annual Research Achievements |
優れた細胞内デリバリー能を持つキャリアナノ粒子は、薬物運搬システム(DDS)の開発のみならず、核酸医薬品やゲノム編集における遺伝子治療用キャリア、そしてワクチンの開発においても重要である。本計画では、Lab-on-a-chipデバイスを用いて、A.アミノ酸型脂質の合成、B.キャリアナノ粒子の調製、C.キャリアナノ粒子による薬物の細胞内デリバリー評価 までのプロセスを連結させて、脂質や薬物の種類に応じたキャリアナノ粒子の最適化を多変量解析から行う。具体的には、Aでは、フローマイクロ反応デバイスにて脂質各部を連結させて得られるライブラリーに対して、Bのマイクロ流体デバイスを用いて薬物担持キャリアナノ粒子(薬物内包リポソームや核酸複合脂質ナノ粒子)を構築し、Cのマイクロ流体デバイスを用いてキャリアナノ粒子と浮遊細胞を混合し薬物や核酸の細胞内デリバリーをフローサイトメトリーや共焦点顕微鏡の画像解析から評価する。各プロセスのアウトカムを目的変数として数値化し、多変量解析・主成分分析から説明変数(各種条件)の最適化を高効率に行うことで、多様な構造の脂質と組成や大きさの異なるナノ粒子の分散液に対して、その細胞導入効果を一挙に評価することができる。2020年度は、最もハードルの高いアミノ酸型脂質をフローマイクロリアクタを用いて短時間で項収率に合成することにチャレンジした。当初の計画通りに進めたものの最終目的物が得られず、合成経路を大幅に変更した結果、1日の工程で原料からアミノ酸型脂質を合成することに成功した。まだ、条件の最適化やバッチ式である脱保護と精製工程をマイクロ流体デバイスで行うことを企図している。リポソームや脂質ナノ粒子に関しては、Herringbone構造のマイクロ流体デバイスにて安定な調製ができることを明らかにした。更に精製工程をマイクロ流体デバイスで行いう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度はフローマイクロリアクターを用いてアミノ酸型脂質の合成を行った。Fmoc-C3-wang resinを詰め込んだカラムを流路に接続し, Fmocの脱保護、Z-Lys(Z)-OH縮合、脱樹脂させてZ-Lys-(Z)-C3-COOHを2.5時間で97.6 %の収率で得た。次にマイクロ流路内の最初のT字ミキサー内でZ-K3COOHとトリフォスゲンを混合し0.5秒の滞留を経て次のT字ミキサー内でGlu2C14溶液と混合し4.3秒の間にアミド縮合を完結させた。15通りの反応条件を検討した結果、3 分間の送液稼働にて82mgのZ-Lys-(Z)-C3-Glu2C14が32%の収率で得られたものの、Z基の脱保護に失敗した。そこで大幅に合成経路を変更した。具体的には、Boc-Lys(Boc)-OH をT字ミキサー内でトリフォスゲンと混合し0.5秒の滞留を経てH-Abu(4)-OBzlを混合し4.3秒の滞留でBoc-K3Bzlを65%の収率で得た。バッチ式の接触還元によってBzl基の脱保護したBoc-K3-COOHを得、同様にフロー法にてこれをトリフォスゲンと混合後Glu2C14を混合し4.3秒の滞留でBoc-K3Glu2C14 を21%の収率で得た。バッチ式のTFAによる脱保護で83%の収率でK3Glu2C14を得た。脱保護と分液操作や再結晶などの精製工程はバッチ式であるものの、フローマイクロ合成により全行程を1日で完了することができた。 他方、マイクロ流体デバイスを用いたリポソームや核酸脂質複合ナノ粒子の調製法に関しては、混合脂質エタノール溶液と蛍光タンパク質あるいはpDNAの水溶液を混合させることで行った。100から150 nmのサイズのナノ粒子を連続的に調製できることを確認した。また、エタノールや未内包の分子を連続的に除去するミニチュア型中空糸モジュールを開発した。
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Strategy for Future Research Activity |
アミノ酸型脂質のフローマイクロ合成に関しては、多くの反応条件を連続的に変化させることができ、送液稼働時間によって収量も制御できることが分かった。しかし、脱保護工程や分液、再結晶工程がバッチ式であるので、これをフロー式で行う方法を開発する。そして、フロー式で行うカラム精製装置と連結させる。以上が確立できたところで、生成物の収率と純度を目的変数とし、各種フロー条件を説明変数とした多変量解析によって各ステップの合成の最適条件を設定する。長鎖アルコール、スペーサー、カチオン性アミノ酸(ジペプチド、トリペプチドなど)を組み合わせ、各々の最適条件を設定しながら脂質ライブラリーを構築する。 マイクロ流体デバイスを用いたリポソームや核酸脂質複合ナノ粒子の調製法に関しては、条件によっては脂質、核酸とタンパク質が析出して流路を詰まらせることがあり、その洗浄除去が困難であることが分かった。そこで、流路表面をタンパク質が吸着しないように処理を施すとともに、成分が析出しないエタノール・水溶液の混合比の範囲を予め調べておく。2020年度に開発したミニチュア型中空モジュールを用いた未内包分子の除去条件を明らかにする。内包効率、内包率を目的変数とした多変量解析を行い、最適条件を設定する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの蔓延による研究活動の大幅な制限があったために、マイクロ流体デバイス用のポンプの購入をしなかった。2020年度はマイクロ流体デバイス用にポンプ、チップなどの購入を計画している。
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