2021 Fiscal Year Research-status Report
マイクロニードルを応用した血液凝固因子を含まない新しい止血デバイスの創成
Project/Area Number |
20K12658
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
加藤 暢宏 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (60309268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 篤 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50458072)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マイクロニードルシートの大面積化 / 3Dプリンタを活用した製造プロセスの改善 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではマイクロニードルを応用した血液凝固因子を含まない新しい止血デバイスの創成を目指して、①~③の各目的について研究を行っている。本年度の研究実績は以下のとおりである。 研究目標①【 臨床応用が可能な大面積(数 cm 角)の PLA 製マイクロニードル パッチを試作する】PLA製マイクロニードルパッチの素材となるPLA製メッシュシートの作成に当たっては本研究費により導入したFDM方式の3次元プリンタであるRaise 3D Pro2をG-Codeにより制御することで、大型のシートを確実に生産可能となった。令和2年度はG-Codeの生成にExcelを用いた非常に手間のかかる方法をとっていたが、令和3年度新たにPythonによるプログラム開発に成功し、G-Codeをほぼ自動的に生成することが可能となった。これによりメッシュ形状の自由度が格段に高まった。また、熱インプリント用の雌型の原型となるマイクロニードルの形状生成についてもブレークスルーがあった。令和2年度までは裏面照射型移動マスク露光を用いたフォトリソグラフィによりニードルの原型を作成していたが、令和3年度はこれに加えDLP方式3Dプリンタによる原型作成法の確立に着手した。これにより、原型作成時間の著しい短縮ならびに作成形状の自由度の向上が望める。 研究目標②【マイクロニードル パッチによって止血が可能となる機序を有限要素法モデルによって考察すると共に実験的に検証する】本研究目標に関しては構造解析モデルの作成に手間取っており、現在のところ有用な結果を得るに至っていない。解析モデルの作成法等を再考し、単純化した解析モデルにより解析を試みている。 研究目標③ 【動物実験によって大面積の PLA 製マイクロニードル パッチの有用性を検証する】ミニブタを用いた実験の準備を進めているが、コロナ禍の影響もあり、計画に遅れが生じている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マイクロニードルメッシュの構造解析については、材料がポリマーでかつ大変形である事、またニードルを穿刺する対象が粘弾性体であることなど、解析が容易でないという構造的な困難さが存在する。簡易的なモデルから徐々に複雑で現実の挙動を説明可能なモデルへと解析の精度を高めていけるよう時間をかけて進める必要があると感じている。 動物実験については、当初の予想よりも準備に時間がかかっている、令和4年度は褥瘡モデルを作成し、マイクロニードルメッシュの有用性を確認すべく研究を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目標「①臨床応用が可能な大面積(数 cm 角)の PLA 製マイクロニードル パッチの試作」については、DLP方式の高分解能な3Dプリンタを導入したことにより、製作可能な形状の大幅な自由度向上に成功した事を受け、より多様なメッシュパターン、シート形状の生産に挑戦する。具体的にはメッシュのユニットセルが正方形のであったものを、オランダ風車様の形状にすることで面内方向の柔軟性の向上をめざす。また、ニードルの密度、断面形状、太さ、高さなどについても検討を加える。 研究目標「②有限要素法による止血機序の解明」については簡易的な計算モデルの作成、有限要素法による計算等を進める。 研究目標「③動物実験によるPLA 製マイクロニードル パッチの有用性を検証」については、より人間に近い大きさの大型の実験動物による褥瘡モデルの検証に進む。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により動物実験計画に遅れが出ている。令和3年度使用できなかった助成金については、令和4年度に動物実験に使用する予定である。
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