2021 Fiscal Year Research-status Report
Analysis and decellularization of human small intestinal submucosa for potential application as an implantable biomaterial
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20K12659
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
上野 富雄 川崎医科大学, 医学部, 教授 (70284255)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヒト小腸粘膜下組織 / 脱細胞化 / 成長因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は既報のLuoらの手法に従い、ブタ小腸をもちいてのSIS作製を行った。物理的剥離過程と生化学的脱細胞の手法の確立ができた。
令和3年度はヒト小腸を用い、まずLuoらの手法に従って脱細胞化ヒトSISの作製を行った。Luoらの手法に従ってヒトSISの脱細胞化を行い、成長因子を測定すると、移植片として機能する際に重要な働きを担う成長因子が微量にしか検出することができなかった。そのためLuoらの方法よりも脱細胞化後の成長因子がより多く保持されるとの報告があったBadylakらの方法でヒトSISの脱細胞化を行った。しかしBadylakらの方法では移植時に拒絶反応を引き起こすとされているDNAを取り除くほどの十分な脱細胞化という観点で、目標値をクリアーできなかった。そこで、再度Luoらの方法に改良・改変することにした。まずトリプシン処理の暴露時間や、界面活性剤処理の時間・温度・撹拌速度などを検討した。ヒトSISの脱細胞化に有効と判断する上で重要と思われたのは、界面活性剤処理の条件設定ということが判明した。先行研究により脱細胞化の指標としては50ng/mg以下のDNA量の検出であれば脱細胞化が十分に行われていると判断されているが、このラインをクリアできるケースが増えた(5検体中4検体)。また、成長因子の定量化に関しては種々の方法があるが、この点においても、例えばb-FGFの抽出であればEzRIPA Lysis kit(ATTO)、VEGFの抽出であれば0.5M 酢酸タンパクのように、成長因子ごとに適切な抽出バッファーを選択することが非常に重要であることが明白となった。一方で、TGFβに関しては、PBSや一般的なタンパク抽出バッファーであるRIPAバッファーでは抽出できなかったので、現在、至適な抽出法を探索中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度のブタSISに対して行った既報のLuoの方法によりヒトSISの脱細胞化を行ったところ、脱細胞化後のSISに残存する成長因子微量であったため、これでは組織再生に寄与できないと判断し、既報のBadylakらの手法により脱細胞化を行ったが、ヒトSISにおいては、脱細胞化が不十分な結果であった。そこで、Luoの方法を一部改変しつつ、同時に成長因子を測定しながら至適な脱細胞化を模索している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度はヒトSIS作製において、ある程度の方法の確立を行うことができたが、成長因子の抽出・測定や脱細胞化において安定した結果を残せてはいない。令和4年度は安定したヒトSIS作製を目標に置いている。具体的方策としては、成長因子に関してはバッファーの再検討・抽出方法(ビーズによる破砕・長時間抽出バッファーにて撹拌・その併用)検討であり、脱細胞化については、先行文献の基準を参考にしつつも、移植片として使用可能であるのかを線維芽細胞との共培養などを試して検討する予定である。
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Causes of Carryover |
b-FGFならびにVEGFの抽出は出来るようになったが、TGFβに関しては、抽出に至適なバッファーを探索中であることにより、予算を使用する実験が完了していないため。次年度使用額は、TGFβに関しては、抽出に至適なバッファーを特定した後、脱細胞化後のヒトSISにおいてのTGFβを定量するための試薬の購入に使用する予定。
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