2020 Fiscal Year Research-status Report
脱細胞化技術による再構築幹細胞ニッチェを用いたターンオーバーする皮膚モデルの開発
Project/Area Number |
20K12660
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
干場 隆志 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部開発第二部バイオ応用技術グループ, 研究員 (00469769)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脱細胞化 / 細胞外マトリックス / 幹細胞ニッチェ / 角化細胞 / 皮膚モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、角化細胞を培養することにより形成された細胞外マトリックス(ECM)を、脱細胞化技術を用いて新しい培養基板として作製し、ターンオーバー可能な3D皮膚モデルを構築することを目的としている。2020年度は作製された脱細胞化ECMを用いて2D培養環境下で角化細胞を培養した際の、角化細胞の機能を明らかにすることを目標としていた。 角化細胞由来の脱細胞化ECM上で角化細胞をあらたに培養したところ、細胞は接着し、伸展していたが、細胞増殖性は低下していた。一方で、細胞内ROSレベルの低下、抗酸化に関わるSOD1等の遺伝子の発現量が上昇しており、脱細胞化ECM上で培養することにより細胞の抗酸化能が上昇することを見出した。 さらに細胞老化マーカーの一つとして知られているSA-β-ガラクトシダーゼの活性を検出したところ、脱細胞化ECM上で培養された角化細胞のSA-β-ガラクトシダーゼの活性は低下していた。また、伸展した細胞の投影面積も低下していたことから、脱細胞化ECM上では細胞老化が抑制されることが示唆された。 角化細胞由来の脱細胞化ECMは、細胞の抗酸化能を亢進させることにより、細胞老化を抑制することが示された。細胞増殖能は低下していたが、幹細胞ニッチェは細胞の過剰な増殖を抑制し、静止状態を維持する性質を有することから、脱細胞化ECMは細胞増殖については上記のような性質を反映したものと考えられた。 以上の結果から、作製された脱細胞化ECMは角化細胞に含まれる幹細胞に対する幹細胞ニッチェのような性質を有することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は脱細胞化ECMを用いて角化細胞を2次元培養した際の性質を明らかにすることを目標としていた。実際に、2020年度成果として①細胞接着性、②細胞増殖性、③抗酸化能、④細胞老化を明らかにすることができた。継代培養を行った細胞の細胞老化を評価するなどの課題は残っているが、計画していた評価項目は実施し、結果が得られているため、2020年度はおおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況に記載した課題はあるが、早急に2D培養時の角化細胞の機能評価を終了させ、得られた成果にもとづいた特許出願について検討する。 研究の計画に変更はないが、2021年度の早期に3D皮膚モデルの構築を開始し、申請書に記載した計画にもとづき研究を遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
概ね計画通りに予算を使用させていただいたが、交付された直接経費(1,300千円)の1%未満の端数を生じた。次年度に繰り越した分は少額の消耗品の購入に充てる。
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