2021 Fiscal Year Research-status Report
脱細胞化技術による再構築幹細胞ニッチェを用いたターンオーバーする皮膚モデルの開発
Project/Area Number |
20K12660
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
干場 隆志 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部マテリアル応用技術部バイオ技術グループ, 副主任研究員 (00469769)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脱細胞化 / 細胞外マトリックス / 幹細胞ニッチェ / 角化細胞 / 皮膚モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、培養角化細胞由来の脱細胞化細胞外マトリックス(dECM)上における角化細胞の機能評価のうち、2020年度に達成できなかった継代培養時の細胞機能評価および3D皮膚モデルの構築について取り組んだ。 dECM上で角化細胞の継代培養を行ったところ、継代に伴う細胞老化は低下していたが、収率は低下していた。この原因の可能性として、dECM上への初期細胞接着数が低い、あるいは増殖能の低下が考えられる。特に増殖能については角化細胞に含まれる表皮幹細胞が性質を保ったまま増殖能を低下させた可能性と、表皮幹細胞がTransit amplifying cellとなって増殖能が低下した可能性があり、3次元皮膚モデルの構築した際の長期間におけるターンオーバー性にも影響するため、早急に原因を解明する必要があると考えられた。現在、そのための実験系の構築を行っているところである。 また、3D皮膚モデルの構築については、当初予定していたセルカルチャーインサートをCOVID-19による影響で入手できず代替品を用いて検討したが、細胞接着因子を塗布しなければ細胞を培養できないことがわかった。そこで本セルカルチャーインサートは、3D皮膚モデルの構築条件の検討に用いている。コラーゲンゲル上において、モデル作製条件を播種密度、培地などの観点から検討を行い、3D皮膚モデルを構築できることを確認した。現在、当初予定していたセルカルチャーインサートの入手の手配を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で開発した培養角化細胞由来の脱細胞化細胞外マトリックス(dECM)の特許出願は行うことができた。一方で、当初予定していた3D皮膚モデルの構築については、COVID-19の影響で、当初予定していた培養機材を入手できず代替品を用いて検討したところ、代替品では細胞接着因子の塗布なしに培養できないことが明らかとなった。そこで改めて代替品でどのようにdECMを作製するか検討する必要があり、時間を要してしまった。そのため、計画からはやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
培養角化細胞由来の脱細胞化細胞外マトリックス(dECM)上での細胞増殖能が若干低下する原因を考察したところ、角化細胞内の表皮幹細胞がTransit amplifying cellへと分化した可能性も考えられた。3D皮膚モデルを形成したときのターンオーバー能にも影響するため、角化細胞の分化状態についても確認する必要があると考えられ、2022年度に実施する予定である。また、本dECMを用いた3D皮膚モデルの構築については2022年度内に達成できる見込みである。
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Causes of Carryover |
COVID-19により入手困難になっていた細胞培養機材(セルカルチャーインサート)について、代替品の検討を行ったが、代替品では予定していた用途には利用できないことが判明したため、予定していた数量を購入することができなかった。そのため、次年度使用額が生じた。予定していたセルカルチャーインサートを必要な量を購入するのに充てる予定である。2022年度の早期に購入する予定である。
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