2021 Fiscal Year Research-status Report
磁気ハイパーサーミアに用いる磁性ナノ粒子を利用した非侵襲温度計測法の開発
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20K12663
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
山本 良之 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (70322120)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 磁性ナノ粒子 / ハイパーサーミア / 温度計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌細胞が熱に弱いことを利用して,磁性体を癌組織に埋入して交流磁場を印可し,非侵襲的に癌の加温治療を行う磁気ハイパーサーミアの実現に向けた研究が行われている。この手法の問題点として過熱による正常細胞へのダメージがあるが,過熱を防ぐために温度を監視するには温度プローブを刺入する必要があるため,利点である非侵襲性が損なわれる問題があった。本研究ではこれを解決するために,磁性ナノ粒子の交流磁場に対する非線形磁化と緩和現象を利用し,発熱体となる磁性ナノ粒子そのものを温度プローブとして用いることで非侵襲的に温度を測定し,定温加熱システムを実現することを目的として研究を行う。 令和3年度では,直流磁場を印可する電磁石を実験装置に付加する装置改良を行い,本補助金で整備した直流電源を用いて,直流磁場を交流磁場と垂直に重ねて印可した条件で実験を行った。定温加熱制御を行うためにはナノ粒子の発熱量を制御する必要があり,直流磁場を印可することによる発熱量の低減効果を利用することを意図して行った。実測した試料温度に対する,磁化の3次高調波信号の振幅と位相を測定した結果,位相の温度変化は直流磁場を印可しない条件と定性的に一致していたが,位相の絶対値が印可磁場強度とともにシフトすることが分かった。また交流磁場強度に比べて大きな直流磁場を印可すると位相が温度に対して単調な増加関数にならず,温度推定が困難であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
直流磁場を印可する電磁石を実験装置に付加することで,直流磁場下での温度推定を実施することができ,定温制御に向けた予備的な実験データの取得を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
直流磁場印可による位相のシフト量を詳しく調べ,直流磁場印可時の温度推定法の確立とともに定温加熱制御を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍によって学会がオンライン開催となり,当初予定していた学会参加のための旅費が必要なくなったため。次年度分の助成金と合わせて,物品費として使用予定。
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Research Products
(2 results)