2022 Fiscal Year Research-status Report
磁気ハイパーサーミアに用いる磁性ナノ粒子を利用した非侵襲温度計測法の開発
Project/Area Number |
20K12663
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
山本 良之 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (70322120)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 磁性ナノ粒子 / ハイパーサーミア / 温度計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌細胞が熱に弱いことを利用して,磁性体を癌組織に埋入して交流磁場を印可し,非侵襲的に癌の加温治療を行う磁気ハイパーサーミアの実現に向けた研究が行われている。この手法の問題点として過熱による正常細胞へのダメージがあるが,過熱を防ぐために温度を監視するには温度プローブを刺入する必要があるため,利点である非侵襲性が損なわれる問題があった。本研究ではこれを解決するために,磁性ナノ粒子の交流磁場に対する非線形磁化と緩和現象を利用し,発熱体となる磁性ナノ粒子そのものを温度プローブとして用いることで非侵襲的に温度を測定し,定温加熱システムを実現することを目的として研究を行う。 令和4年度では,前年度に整備した交流磁場に重ねて直流磁場を印可する実験装置を用い,交流磁場に対して垂直,平行方向に直流磁場を印可した場合の,酸化鉄ナノ粒子試料の発熱効率の直流磁場依存性を詳細に調べた。この結果,発熱効率は直流磁場印可とともに緩やかに減少し,直流磁場強度の1価関数として定式化することができた。この関係を用いて,光ファイバー温度計で実測した試料温度と目標温度の差分をフィードバック制御して直流磁場を可変で印可することにより試料温度を一定にすることに成功した。今後は試料温度として磁化の3次高調波信号の位相から推定した温度を用い,試料を定温制御することを試みるが,直流磁場印可時に位相が変化するため直流磁場強度に対する位相変化量の定式化をまず行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一定強度の交流磁場を印可した状態で,温度を測定して印可する直流磁場強度をフィードバック制御することよって発熱量を制御し,定温にすることに成功したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
直流磁場印可による位相のシフト量を詳しく調べ,直流磁場印可時の温度推定法の確立とともに定温加熱制御を行う。
|
Causes of Carryover |
前年度の未使用額が多く,また他予算を使用して購入したものもあり,当初予定していた物品購入計画で消費しきれなかったため。最終年度の助成金と合わせて,消耗品の物品費として使用予定。
|
Research Products
(2 results)