2020 Fiscal Year Research-status Report
次世代シークエンサーよる小児不応性血球減少症の成因解明と新規診断・治療への挑戦
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20K12668
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
奥野 啓介 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (10597959)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小児不応性血球減少症 / 再生不良性貧血 / 芽球増殖を伴う不応性貧血 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年度にわたる計画の研究の初年度であった。本研究開始前に私たちがストックしている検体数は、再生不良性貧血(AA: aplastic anemia)2症例のほか、本研究の解析目的疾患である小児不応性血球減少症(RCC: refractory cytopenia of childhood)が3例、芽球増殖を伴う不応性貧血(以下RAEB: refractory anemia with excess of blasts)5例である。しかしながら、今年度はこれらの新規症例がなかった。次世代シークエンサーによる遺伝子解析を効率的に行うことを考えると、ある程度の検体数が収集された後に、まとめて解析するほうが、コスト面で望ましいと考え、計画した遺伝子解析をまだ実施できていない状態である。 解析遺伝子についても見直しを行った。当初解析遺伝子候補に挙げていなかった、GATA2、ANKRD26、ATRX、BCORL1、BRCC3、CTCF、DNMT3A、EED、GNAS、GNB1、JAK3、LAMB4、LUC7L2、MPL、NPM1、PEG3、PHF6、PIGA、PPMID、PRPF8、PTPN11、RAD21、RIT1、ROBO1、ROBO2、SAMD9、SAMD9L、SETBP1、SF3B1、SMC1A、SMC3、SRSF2、STAT3、SUZ12、U2AF2の各遺伝子もAAあるいは、RCCやRAEBが含まれる骨髄異形成症候群で機能異常が報告されており、解析対象に含めることとした。私たちは特にMIRAGE症候群(骨髄異形成、感染、成長障害、副腎低形成、性腺症状、腸炎の6症状を来たす)の原因遺伝子であるSAMD9遺伝子に注目している。RAEB1を発症した1例にこのMIRAGE症候群と思われる症例があったためである(論文投稿中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)「研究実績の概要」で述べたように、新規AA、RCC、RAEBの患者がなく、検体数が十分でなかった。 (2)「研究実績の概要」で述べたように、解析遺伝子の見直しが必要であった。 (3)鳥取県内でも新型コロナウイルス流行がみられ、その対応(診療業務)が多忙となり、研究面に十分なエフォートを配分できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)研究に関わるチーム(研究協力者)の人数を増員する。3名程度増員する予定である。 (2)他施設に検体の提供を要請する。これについては、1施設からすでに内諾を得ている。 (3)遺伝子解析の外注を検討している。DNAシーケンスだけでなく、エピジェネティック変化の解析にも対応できる可能性がある。
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Causes of Carryover |
(1)遺伝子解析に入れず、その予算に余剰が出てしまったこと (2)参加学会がすべてオンライン参加となり、旅費の支出がなかったこと
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