2022 Fiscal Year Research-status Report
次世代シークエンサーよる小児不応性血球減少症の成因解明と新規診断・治療への挑戦
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20K12668
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
奥野 啓介 鳥取大学, 医学部, 助教 (10597959)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 小児不応性血球減少症 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究3年度目であったが、筆者自身の新型コロナウイルス感染症とその後の体調不良等により、解析が滞っている。遺伝子解析については、2023年度には完成させる予定である。2022年度中の新規症例はなかった。 研究計画に沿って、解析できる症例、再生不良性貧血(AA)2例、小児不応性血球減少症(RCC)2例、芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB)と診断された各症例について、(1)染色体解析、(2)血球形態異常(2008年WHO分類に基づく骨髄異形成症候群の診断基準で、診断的価値の高いカテゴリーAであるPelger核異常、低分葉好中球、顆粒形成異常好中球、微小巨核球、環状鉄芽球とそれ以外の巨赤芽球性変化などのカテゴリーBで整理)、(3)免疫染色での53陽性例の3つの観点から以下のとおりのデータを得た。 まず、染色体異常があったのはRAEBの1例のみで、45, XX, -7で予後不良とされるものであった。これは先刻報告した通りSAMD9遺伝子の変異が見いだされている。 形態異常については、筆者らの血液専門医と病理医の意見を総合して判断した。AA症例2例はいずれも血球形態異常はなく、RCCではいずれも巨赤芽球性変化(カテゴリーB)を認め、1例が顆粒形成不全好中球(カテゴリーA)を認めた。RAEBについては、芽球増殖に加えて形態異常が目立った。3例全例にPelger核異常、2例に微小巨核球、1例に顆粒形成不全好中球というカテゴリーAの異常を認めた。3例ともカテゴリーBの異常を認めたが、環状鉄芽球は全く認めなかった。 p53免疫染色については、AAでは検討された症例がなく、RCCでは1例が、RAEBでは2例が検討され2例とも陽性であった。p53免疫染色ではRCCか否かの判定は難しいことが示唆された。 以上からはAA、RCC、RAEBとなるにつれて形態異常が著しくなる傾向が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
筆者が2022年5月新型コロナウイルス感染症に罹患し、以後慢性の体調不良が続いていたこと、さらに急性期症状回復後も一般診療業務(新型コロナウイルス感染症患者受け入れを含む)、働き方改革などに関わる大きな方針転換を要する管理運営業務にエフォートを割かざるを得なかったことが理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度中に合計8件症例を目標に骨髄検体の遺伝子解析を行う。来年度に学会発表および論文化を目指す。
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Causes of Carryover |
前述のとおり、筆者の体調不良や新型コロナウイルス流行に伴う研究エフォートの減少により、繰越の必要があったため。また、現在本学での網羅的遺伝子解析(次世代シークエンサーの利用)が困難であるため。残り予算の半分である120万円程度を使用して、外注で遺伝子解析を施行する。残額は試薬購入や論文作成、学会発表旅費に充当する予定である。
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