2021 Fiscal Year Research-status Report
磁気共鳴画像装置用磁場発生コイルへの遮蔽電流磁場消磁法の適用に関する基礎的検討
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20K12671
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
柁川 一弘 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学部, 教授 (10294894)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高温超伝導線 / テープ形状 / 遮蔽電流 / 磁化 / 消磁 / 同軸配置 / トロイド配置 / MRI装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
磁気共鳴画像(MRI)装置に用いる次世代の磁場発生コイルを構築する上で、空間的に不均一で時間的に減衰する「遮蔽電流磁場」が解決すべき学術的課題の1つとなっている。これまでに、遮蔽電流磁場を消磁する手法を独自に考案して国際特許出願するとともに、小型コイル単体に対して原理実証している。そこで、複数個のコイル群で構成されるMRI装置用磁場発生コイルについても、提案する遮蔽電流磁場消磁法が適用可能なことを実証することを目的に、(A) 消磁コイルの代表的な2つの配置法に関する実験的評価、(B) 遮蔽電流磁場の消磁効果に与えるコイル間相互作用の数値的評価、並びに(C) 個別の消磁機能を有する複数個のコイル群で構成されたMRI装置用磁場発生コイルの最適設計を実施する。これらの実験・数値解析・最適設計に基づいた多角的な検討を通じて、独自性を有する遮蔽電流磁場消磁法に関する新しい学術的知見を創造する。 MRI装置用の磁場発生コイルは、なるべく少ない線材量で大口径空間に均一磁場を生成するために、形状や配置が最適設計された複数個の要素コイルで構成されるのが一般的である。高温超伝導線を用いてこのようなコイル群を構成して遮蔽電流磁場を除去するための消磁コイルを配置する場合、コイル群全体を1つの消磁コイルで囲むのは占積率が極端に低く非効率的なため、要素コイル単位で個別に消磁コイルを配置する方が効果的である。そこで、高温超伝導コイル単体に対してこれまでに実証済みである遮蔽電流磁場消磁法を、複数個のコイル群にも適用可能かどうか検証する必要がある。 そこで、本研究では、独自に提案する遮蔽電流磁場消磁法が高温超伝導テープ線を巻いたMRI装置用磁場発生コイルに適用可能なことを実証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、トロイド配置した消磁コイルを有する高温超伝導コイルを製作した。液体窒素を用いて浸漬冷却した高温超伝導コイルを励磁した際に発生する遮蔽電流磁場を、コイル中心部に配置した極低温用ホール素子により観測した。既に製作済みの高温超伝導コイルを内在しない2つの消磁コイルも組み合わせることにより、微小交流磁場を印加した際の遮蔽電流磁場の変化を観測し、相対位置関係や印加磁場の大きさ等が与える影響を実験的に評価した。 同軸型消磁コイルを有する高温超伝導コイルで得られた実験結果を計算機上で再現する数値計算プログラムコードを作成した。作成したコードを用いて、実験では制約により遂行できない幅広い条件や範囲に対する数値解析を実施し、高温超伝導コイルの寸法や消磁コイルの相対位置関係、印加磁場の大きさ等が遮蔽電流磁場の消磁効果に与える影響を数値的に評価することにより、消磁コイルが相互に影響しない条件・範囲を同定した。
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Strategy for Future Research Activity |
トロイド型消磁コイルを有する高温超伝導コイルで得られた実験結果を計算機上で再現する数値計算プログラムコードを作成する。作成したコードを用いて、実験では制約により遂行できない幅広い条件や範囲に対する数値解析を実施し、高温超伝導コイルの寸法や消磁コイルの相対位置関係、印加磁場の大きさ等が遮蔽電流磁場の消磁効果に与える影響を数値的に評価することにより、消磁コイルが相互に影響しない条件・範囲を同定する。 得られた知見に基づき、個別の消磁機能を有する複数個の高温超伝導コイルを組み合わせたMRI装置用の磁場発生コイルを最適設計する。独自提案する遮蔽電流磁場消磁法を組み込んだ高温超伝導コイル群が実現可能なことを具体的に提示することを通じて、高温超伝導テープ線をMRI装置へ応用する際の課題の1つとなっている遮蔽電流磁場の影響を除去する手法の実現可能性を基礎的に検討する。
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