2022 Fiscal Year Annual Research Report
認知症診断を目的とした脳波特徴パラメータ自動検出に関する基礎的研究
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20K12672
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
杉 剛直 佐賀大学, 理工学部, 教授 (00274580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 吉隆 佐賀大学, 海洋エネルギー研究所, 准教授 (00578429)
後藤 聡 佐賀大学, 理工学部, 教授 (20225650)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知症 / 脳波 / 脳波特徴パラメータ / 脳波自動判読システム |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに構築した、認知症に関連した脳波特徴の解析システムを基盤として、認知症外来にて記録された89例の脳波データの特徴を詳細に検証した。脳波特徴の検証は、これまでの解析結果において認知症との関連性が示唆された以下のパラメータ、後頭部優位律動の振幅ならびにオーガニゼーション、徐波(δ波)の出現割合、α波のコヒーレンス、並びに本研究で独自に定義した徐波の成分割合(徐波成分とα波・β波成分の比)を用いて行った。認知症ならびに軽度認知障害の、合わせて57例のデータに対して、上記の脳波特徴パラメータと、MMSE-Jと呼ばれる認知症診断で重要視される心理検査結果のスコアとの相関性を定量的に求めた。その結果、5つの脳波特徴パラメータの相関係数の絶対値は、最低値が0.39、最高値は0.55となり、いずれも有効なパラメータとして利用できる可能性が見えた。また、相関係数が0.55と最も高かったのは、本研究において新しく定義した「徐波の成分割合」であったことから、このパラメータが認知症診断において有効となり得ることが期待された。
さらに本研究では、認知症外来における認知症であるか否かの鑑別診断への応用を念頭にした解析も行った。具体的には、認知症群57例(認知症と軽度認知障害)と非認知症群21例(てんかん、パーキンソン病、精髄小脳変性症)の2群に対して、脳波特徴パラメータの違いを検証した。その結果、δ波、θ波、α波、β波それぞれの成分比で、いずれも分布に有意差(ρ<0.05)が見られた。しかしながら、パーキンソン病と脊髄小脳変性症の脳波データでは、雑音成分が多く含まれていたため十分な脳波データを確保することが出来なかった。こちらの結果に関しては、今後の検証が必要と判断された。
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