2022 Fiscal Year Research-status Report
multi-distributed EMR tailored to hospital IoT
Project/Area Number |
20K12673
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
竹村 匡正 兵庫県立大学, 情報科学研究科, 教授 (40362496)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 電子カルテ / NoSQL / 分散型データベース / NewSQL |
Outline of Annual Research Achievements |
電子カルテの元になるデータベースは、いわゆる「電子カルテの三原則」を担保するために、伝統的にリレーショナル・データベースが採用されているが、病院情報システムが大規模化し、また多くの部門システムと接続することに伴い高価格やスローダウンが問題となっている。今後多くのデバイスが接続され、IoTに適用するにはこのままのアーキテクチャで行うことは現実的ではなく、新たなアーキテクチャの導入を検討すべき時期にあると考えられる。本研究では、昨今のデータベースアーキテクチャの動向を踏まえて、分散型の永続化可能なインメモリデータベースの利用を検討してきた。具体的なた~来てくちゃとしてはRedisを想定し、低価格のハードウェアに実装したRedis上に仮想電子カルテシステムを構築した上で、大規模病院と同等のトランザクションを発生させた。 結果、トランザクションに変わる一貫性を担保する方法として、シングルスレッドで動作する分散ロックで対応するが、パフォーマンスについては十分とは言えない結果であった。そのため、Redisのような分散型インメモリデータベースの適用と並行して、新たな技術についても検討を行った。 その上で、本年度は、昨今広く注目を集めているNewSQLデータベースを検討することとした。NewSQL とは、RDMSの一つであるが、分散型で処理することでスケーラビリティを維持しながらACID特性を維持するものである。これは、これまで検討してきた電子カルテの基幹データベースに適用できる可能性があり、NewSQL上で実際のパフォーマンスを検証した上で、電子カルテシステムとしての可能性を検討することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでターゲットとしていたアーキテクチャであるRedisは十分な性能とは言えなかったため、NewSQLのひとつであるTiDBの実装を行った。TiDBはMySQL互換のため、旧来の電子カルテのリソースの再利用も行える可能性がある。もっとも、TiDBが十分なパフォーマンスを担保できるのかについてはRedis同様に検証する必要があるため、本年度においては、電子カルテを模倣したオーダー、SOAP記載、処方等のテーブルを作成し、また患者基本情報のテーブルを作成した上で、これらのテーブルの結合、及び書き込みを行った。性能評価を行うために、レガシーなPosgreSQLとTiDBにおいてSELECT, INSERTの性能を評価した。結果は、100000レコードを100クライアントで同時にSELECT, INSEERTを行う実験においては、SELECT文はTIDBが19.3秒、PostgreSQLにおいては3593.6秒であり、INSERTについてはTiDBでは5176.6秒、PostgreSQLでは1938.3秒であった。
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Strategy for Future Research Activity |
SELECT文に見られる読み込みについてはNewSQLであるTiDBが圧倒的な性能がある反面、INSERT文についてはRDBMSであるPostgreSQLの性能が高かった。またTIDBはスケールアウトが可能なため、ハードウェアの増強による性能向上も期待できる。 今後は、電子カルテにおけるINSERT文の実行状況などを精査した上で、実際にユーザーインタフェースを実装した電子カルテシステムを実装することを試みた上で、新たな電子カルテシステムの構築を試みる。
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Causes of Carryover |
昨年度はコロナ禍において国際学会発表が困難であったのと、病院での調査が不可能であった。次年度は電子カルテインタフェースを含む学会発表等を学部学生、大学院生とともに進めているため、論文投稿および国際学会・国内学会への参加を行う。
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