2021 Fiscal Year Research-status Report
Development and validation of an innovative overhead lighting system for safe, prompt and accurate laparoscopic surgery
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20K12692
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Research Institution | Saiseikai Research Institute of Health Care and Welfare |
Principal Investigator |
高井 昭洋 社会福祉法人恩賜財団済生会(済生会保健・医療・福祉総合研究所研究部門), 済生会保健・医療・福祉総合研究所研究部門, 客員研究員 (70632917)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 上方照明システム / 腹腔鏡手術 / 陰影の手がかり / 内視鏡手術 / 上方照明デバイス / 上方照明 / 照明デバイス / 照明システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の2本柱は,上方照明デバイスを用いた腹腔鏡上方照明システムにおいて,通常照明との比較手術による検証と,臨床応用できる照明デバイスの開発である.照明デバイスの開発において,光電気LEDシステム株式会社との共同研究により,2020年度にヒトの手術で用いるための必要な明るさ・大きさ・形状のデバイスを検証し,さらに問題であったデバイスの温度上昇の問題を,ペルチェ素子による水冷式の回路を開発することで解決した.なお,2020年度の開発時には試作品であった冷却装置は,2021年度には電源装置と水冷式回路を一体化することに成功した.加えて,照明装置には温度上昇に関する安全機構を搭載するよう改良した.この発明は,2020年度に特許を出願し,2021年度には公開特許公報に掲載された. 2021年度はこの照明装置を用いて,カダバーおよび動物による検証実験を行った.温度上昇については,生体である動物実験により冷却装置の有効性を検証した.その結果,3時間の手術時間においても照明装置の温度上昇は30℃以下に抑えられることを確認した.最新の照明装置では,LED素子の性能向上により,これまでは1.6A必要であった電流を0.5A以下まで抑制できたことも温度上昇を抑えることができた一因と考えている.冷却装置を稼働させなければ,照明装置の温度は上昇したため,有効に冷却装置が作動しコントロールされていると判断した.また,2021年度は照明デバイスの形状についても再考した.そもそも動物実験で始まった今回の研究において,動物からヒトへの応用を考えたときに,照明デバイスのサイズダウンが必要であった.一方,サイズダウンすることは照明の照度が落ちるというトレードオフの関係にあったが,LED素子の進歩によりサイズダウンを図っても十分な照度が得られることが確認され,ヒトの体格に合った照明デバイスを開発する方針となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2本柱の内,照明デバイスの開発については,温度上昇の問題がもっとも解決困難と考えていたところ,2020年度にそれが解決されたために,一気に進んだと考えている.その後,冷却装置と安全機構を搭載した照明デバイスおよび電源冷却装置を臨床的に応用できるような仕様まで作り上げようとした.しかしながら,COVID-19によるパンデミックのため,照明デバイス製作のために必要な材料の調達に遅れが生じ,装置の完成が2021年度末となった.そのため,上方照明と通常照明の比較実験においても,当初予定していた他の診療科を複数含めた多数による検証実験の計画を立てることが困難となったことから,進捗状況はやや遅れていると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
照明デバイスについては,デバイスの製作会社である光電気LEDシステム株式会社と緊密に連絡を取りあって研究を進めており,2021年度に臨床応用するために必要であった温度上昇抑制とその監視システムは開発できたと考えている.2022年度は形状およびLED素子の色温度のマイナーチェンジを検討しており,これらを作り込んだのちに薬事相談をして,臨床応用に向けての開発を進める.一方,最新の照明デバイスを用いて,通常照明との比較検証実験を推進してゆく.2022年度は,外科にとどまらず,産婦人科,泌尿器科など他診療科においても,手術を執刀あるいは見学をしてもらった臨床医から主観的評価としてのアンケート調査を行う.客観的評価として,2020年度にデータを収集した上方照明と通常照明の手術映像をブタの実験により撮影した比較検討を行っており,2021年度に手術映像の鮮明さを統計学的に分析した解析を得ることができたため,現在論文を執筆中である.
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Causes of Carryover |
COVID19による世界的なパンデミックにより,2020年度の研究実績を発表する機会として考えていた複数回の国際学会への参加が見合わされたこと.また,照明デバイスを開発するにあたり,同様の理由による海外からの物品調達が停滞し,デバイスの開発が遅れ,十分な回数の手術検証が行えなかったことによる消耗品の消費が少なかったために,次年度使用額が生じることとなりました.
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Research Products
(1 results)