2022 Fiscal Year Research-status Report
その場診断実現のためのバイオマーカー高感度裸眼検出手法の開発
Project/Area Number |
20K12697
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
石原 量 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30633507)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 表面機能化自律駆動マイクロチップ / UVグラフト重合法 / 部分グラフト重合 / 細胞外ベシクル / その場診断 / 乳がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,がんをはじめとする様々な重篤な疾患の“その場診断手法”を確立するために,研究代表者が開発している,持ち運び可能な「表面機能化自律駆動マイクロチップ」を改良し,バイオマーカーの裸眼および高感度検出をめざすものである。今年度得られた成果は以下の3点である。
(1)がんのバイオマーカーの一つである細胞外ベシクルを簡便かつ高感度検出することをめざし表面機能化自律駆動マイクロチップを作製した。より効率よく細胞外ベシクルを捕捉するために,流路の一部に狭窄した部分を持つポリジメチルシロキサン製のマイクロチップを採用し,その狭窄した部分の流路高さを最適化した。さらに,さらに細胞外ベシクルを検出する際の検出プロトコルを最適化した。これら2つの改善によって,29倍検出下限値を小さくすることに成功し,検出下限値は6.3×10^10 particles/mLとなった。これは血液中に存在する全細胞外ベシクルの濃度よりも小さい値である。検出に要したサンプル体積は2 マイクロリットル,検出に要した時間は19分となった。この成果は,Membranes誌に発表した。
(2)細胞外ベシクルのさらなる高感度検出をめざし,上記の表面機能化自律駆動マイクロチップをさらに改良した。流路の一部に狭窄した部分を持つポリジメチルシロキサン製のマイクロチップの流路内表面のUVグラフト重合する部位の制御方法を確立し,検出部位に到達するまでの部分には非特異吸着を抑制するグラフト鎖を成長させ,検出部位には細胞外ベシクルを捕捉するための抗体を固体するためのグラフト鎖を成長させた。これらによって,検出部位に到達するまでの細胞外ベシクルの損失を抑えることができた。 さらに,検出の際のプロトコルも再検討することによってこれまでよりも高感度で細胞外ベシクルを検出することに成功した。この成果は,第44回日本バイオマテリアル学会大会,第32回日本MRS年次大会において発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイオマーカーの裸眼検出に関しては,汎用のハンディの蛍光検出器なども開発されたことから,より優先度の高い細胞外ベシクルの高感度検出に注力し研究を進めた。流路の一部分に狭窄した部分のあるマイクロチップに対して部分的にUVグラフト重合する方法を確立し,損失を抑えた細胞外ベシクル捕捉効果を確認できたことから,研究は概ね順調に進んでいると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
細胞外ベシクルを高感度検出できる表面機能化自律駆動マイクロチップの作製をめざし,部分グラフト重合の効果を検出下限値を算出するなど定量的に評価するとともに,より実サンプルに近い血清などを用いた実験も視野に入れ研究を進める。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍により,旅費の支出がすくなかったため,本成果を学会および論文において発表する予定である。
|
Research Products
(6 results)