2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a highly sensitive uric acid biosensor using copper-containing nanofibers for simple measurement of uric acid level in blood
Project/Area Number |
20K12703
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Research Institution | Fukui National College of Technology |
Principal Investigator |
坂元 知里 福井工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (10711492)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 尿酸バイオセンサ / 親水性カーボンフロス電極 / ダブルパルスポテンシャルステップ法 / アスコルビン酸の阻害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、血中尿酸値を簡易的に計測することを可能とする血中尿酸値バイオセンサシステムの開発を目的とした。 本年度は、当初計画では1年目に行う予定であった「ウリカーゼ固定化カーボンフロス電極」を作成し、尿酸の選択的計測を検証した。カーボンフロスは、疏水的性質を有する。よってカーボンフロスを硫酸-硝酸混合溶液に浸漬し、30分加熱することで、親水化し、電極として用いた(以下、親水化カーボンフロス電極とする)。 本研究ではウリカーゼ固定化カーボンフロス電極による高感度化を目的とした。本カーボンフロス電極には無配向固定法によりウリカーゼを固定し、ウリカーゼ固定化カーボンフロス電極とした。ウリカーゼ固定化カーボンフロス電極を用いて尿酸計測をした結果、尿酸濃度に依存した電流応答値が得られなかった。そこで、ウリカーゼの使用をやめ、電気化学手法により酵素に代わる選択性を付与することとした。本研究では、電気化学手法としてダブルパルスポテンシャル法を用いることとした。ダブルパルスポテンシャルステップ法は2段階で異なる電圧を印加させることで1段階目と2段階目で得られた電流値を差し引きすることで測定対象の電流値を決定する手法である。本研究では、1段階目に夾雑物質であるアスコルビン酸の酸化電位0.290 Vを、2段階目に尿酸の酸化電位0.390 Vを設定した。その結果、尿酸濃度に依存した酸化電流値が得られ、さらにアスコルビン酸含有下においてもアスコルビン酸濃度に影響なく、尿酸濃度に依存した酸化電流値が得られた。また、カーボンフロス電極とPFC電極(カーボン電極で一般的な電極)を使用し、電流応答値を比較した結果、カーボンフロス電極を用いた方が124倍高く電流値を得た。以上の結果から、本年度は上記手法により尿酸を高感度かつ高精度に計測可能であることを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、新型コロナウイルス感染対策により半年間以上研究を行うことができなかった。そこで当初計画では2年目に行う予定であった「分子ふるい機能を付与したナノファイバー膜」の検討を先に行った。よって本年度は、当初計画の1年目に行う予定であった「カーボンフロス電極を用い、高感度化」を行い、計画の調整を行なった。また計画としていたウリカーゼ固定化カーボンフロス電極を用いた際、尿酸濃度に依存した電流応答値が得られなかったため、電気化学手法を工夫した結果、予定としていた高感度化を達成し、かつ高精度化まで達成した。従って予定計画に大きな遅れはなく、むしろ当初計画以上に進展したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
条項にも記述したが、本研究課題は血中尿酸値を簡易的に計測する血中尿酸値バイオセンサシステムの開発を目的とし、本システムは、「酵素及び分子ふるい機能を付与した銅含有ナノファイバー膜を用いて選択性向上」、「カーボンフロス電極を用い、高感度化」、「統計解析により尿酸計測値の信用度確認」の特徴付与により実現を計画した。 本年度は、当初計画の3年目に行う予定であった「分子ふるい機能を付与した銅含有ナノファイバー膜の作成条件検討」と当初計画4年目に予定している「カーボンフロスとナノファイバー膜の一体化」を中心に行う。「分子ふるい機能を付与した銅含有ナノファイバー膜の作成条件検討」は、1年目にナノファイバー膜の作成条件は決定しているため、1年目の条件に、さらに、銅を導入したナノファイバー膜(銅含有ナノファイバー膜)の作成条件を検討する。銅含有ナノファイバー膜にすることにより、夾雑物質のアスコルビン酸のみを選択的に不活性化させる。昨年度の実験で、電気化学的にアスコルビン酸含有下でも尿酸を選択的に計測可能な条件を決定したが、本年度ではさらに銅含有ナノファイバー膜を作成することにより、電極界面に残存するアスコルビン酸をも不活性化させ、尿酸計測の高精度化を目指す。
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Causes of Carryover |
当該予定ではウリカーゼを使用する予定であったが、予定を変更し、電気化学的手法により問題を解決した。よって、ウリカーゼをはじめとする「ウリカーゼ固定化」に使用予定であった薬品等消耗品の使用がなくなったため差額が生じた。本年度は、銅含有ナノファイバー膜の作成条件を検討するため、その消耗品として差額分を使用する予定である。
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