2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of a highly sensitive uric acid biosensor using copper-containing nanofibers for simple measurement of uric acid level in blood
Project/Area Number |
20K12703
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Research Institution | Fukui National College of Technology |
Principal Investigator |
坂元 知里 福井工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (10711492)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ナノファイバー膜 / 分子ふるい機能 / ポリウレタン / 赤血球の影響除去 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、血中尿酸値を簡易的に計測することを可能とする血中尿酸値バイオセンサシステムの開発を目的とした。 本年度は、当初計画3、4年目に行う予定であった「分子ふるい機能を付与した銅含有ナノファイバー膜の作成条件検討」について検証した。血液中に含まれる血球は96%が赤血球である。赤血球の直径は6.0-9.0μmであるため、本研究では、孔サイズが直径6μm前後のナノファイバー膜を作製し、大まかに赤血球を分離する分子ふるい機能ナノファイバー膜を目指した。分子ふるい機能ナノファイバー膜は、ポリウレタンを用いて作成した。ポリウレタンをDMF/THF混合溶媒に10 %となるよう加え、一晩撹拌し、溶解させた。ナノファイバー膜は、エレクトロスピニング法により作製した。エレクトロスピニング法は、ポリマー溶液に高電圧を印加した状態で一定速度で噴霧させることにより、ナノファイバーを作製する方法である。本研究で溶解させたポリウレタン溶液をエレクトロスピニング法により噴霧させ、膜を形成させた。作製した10%ポリウレタン膜はSEM観察により孔サイズを確認した。その結果、10%ポリウレタン膜の孔サイズは1-10μm程度の孔を多数有していることを確認した。 PFC電極に10%ポリウレタン膜を被膜し、6μmマイクロビーズ(血球のモデルビーズ)含有下において、前年度条件を確定させたダブルパルスポテンシャルステップ法により尿酸計測を行った。その結果、ナノファイバー膜を被覆していないPFC電極を用いた場合、マイクロビーズ含有量の増加に依存し、電流応答値が減少した。一方で被膜したPFC電極を用いた場合、マイクロビーズ含有量に関わらず、応答電流値が増減せず安定した。以上の結果から、本年度は上記手法により、物理的阻害物である血球の影響を受けず、尿酸を選択的に計測することが可能であることを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、当初計画では3年目と4年目に行う予定であった「分子ふるい機能を付与した銅含有ナノファイバー膜の作成条件検討」と「ナノファイバー膜を被覆した電極を用いた物理的阻害物質の尿酸計測に対する影響評価」の検討を行った。1年目から現在まで、当初の計画通りに実験は進んでおり、「カーボンフロス電極作製」、「選択的な尿酸計測条件の検討」、「ナノファイバー膜による物理的阻害物質の影響評価」が終了しており、高感度でかつ高選択的な尿酸計測が達成できている。従って予定計画に大きな遅れはないと考える。 本年度は、銅含有ナノファイバー作製条件とそれを用いた尿酸計測を実施することで、当初計画に遅れなく、研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は血中尿酸値を簡易的に計測する血中尿酸値バイオセンサシステムの開発を目的とし、本システムは、「酵素及び分子ふるい機能を付与した銅含有ナノファイバー膜を用いて選択性向上」、「カーボンフロス電極を用い、高感度化」、「統計解析により尿酸計測値の信用度確認」の特徴付与により実現を計画した。 本年度は、当初計画の4年目に行う予定であった「カーボンフロスとナノファイバー膜の一体化」を中心に行う。「分子ふるい機能を付与した銅含有ナノファイバー膜の作成条件検討」は、1年目と3年目にナノファイバー膜の作成条件は決定し、かつPFC電極を用いて赤血球サイズのマイクロビーズを用いて尿酸測定に対する物理的影響を確認した。その結果、10%ポリウレタンナノファイバー膜を電極上に被膜することで物理阻害の影響が軽減することを明らかにした。しかし、銅を導入したナノファイバー膜(銅含有ナノファイバー膜)については、溶媒に硫酸銅をはじめとした銅イオンの溶解が困難であり、本年度もさらに作成条件を検討する。本年度では銅含有ナノファイバー膜の作製と、電極界面に残存するアスコルビン酸をも不活性化させ、尿酸計測の高精度化を目指す。
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