2021 Fiscal Year Research-status Report
The method to determine the probability of disease severity by bayesian statistical analysis in a small number of patient data.
Project/Area Number |
20K12716
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
谷川 雅人 大分大学, 医学部, 教授 (90332890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安徳 恭彰 大分大学, 医学部, 准教授 (20529797)
岩城 貴史 大分大学, 医学部, 助教 (60416419)
中田 健 大分大学, 医学部, 病院特任助教 (60555142)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | IgA腎症 / 生検 / ベイズ統計 / 重症度分類 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
IgA腎症患者についての検査データを収集した。これまでに収集し解析した結果と今回収集した解析結果をまとめ論分とするための最終的な確認を行った。(投稿は2022年度予定)IgA腎症は、最も高頻度な原発性の糸球体腎炎であり、腎生検が唯一の診断方法であるが、正確な組織学的重症度分類のためには、ある程度の糸球体数が必要とされおり、世界的に広く使われているOxford分類においても8個以上の糸球体が必要とされている。日本では日本腎臓学会が作成した独自の診断・重症度分類を用いています。Oxford分類と日本の病理学的分類の大きな違いの一つが、重症度を示す分類の方法として、"split system "を用いるか、"lumped system "にあり、日本の分類方法では1生検あたり10個以上の糸球体が必要とされている。今年度の研究結果で、腎生検で採取された糸球体の数が極めて少なかった場合でも、ベイズの判定確率を用いれば、日本の組織重症度分類の正しさを確率的に表現し、病理学的重症度分類が適応可能なことを示す事ができた。 今回用いたベイズの定理での事後(検査後)確率判定では、診断分類の的確さを事後確率という具体的な数値で示すことで、個々の症例に対してより詳細な情報が事後確率という数値で得られ、実臨床の際に、有用な指標となると考えられるが、この研究では、Oxford分類のIgA腎症と日本学会病理分類のIgA腎症は分類方法が異なるため、今回は、比較できなかったことや、本研究のデザインが横断研究であるため、病理学的および臨床的予後を明らかにするための縦断的研究の必要性などの課題も残されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究で予定しているIgA腎症患者の生検の結果から学会基準に則した重症度判定法については概ね予定通り進んでいるが、これに加えて、その他の検査結果のデータを加えることにより、さらに精度の高い解析を行うことができるのかを検討している。現在の学会基準の重症度は、生検での糸球体の正常と病変との比率を調べ、この比率によって重症度を判定するものになっているが、今後、この研究を発程させることによって、これらの生検による糸球体の病変に加えて、それぞれの患者の検査データ等を併せて収集できた場合の精度向上の可能性についても検討していく準備を進めている。生検における巣状、増殖硬化、硝子化、半月体などのデータを、他の検査結果などと併せて解析することにより,生検結果を単なる悪性度と捉えるのではなく、その内容によってどのような経緯を辿るのかを明らかにする事の可能性について検討していくための方法について検討している。 また、当初の予定通りベイズ推定においてマルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)を取り入れて、確率分布の定常分布をシュミレートして、さまざまなモデルの検討を行ない、採取できた細胞等の数が少なく,確率的にあいまいな結果を出すことしかできない場合における,悪性度を確率的に表現し,それぞれの患者の置かれた環境も考慮しつつ再検査も含めて対応を検討する材料になるデータの提供が可能となったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
IgA患者の生検の結果はまだ不十分なため、連携病院等と協力してさらにデータの拡充に努める。当初の予定通り、確率精度を上げるようIgA腎症患者の腎生検の結果から、進行段階を確率的に示し、それぞれの個別事情と併せて診断の指針にできるようにする。穿刺吸引細胞診や針生検、外科的生検等のデータを、確立した方法に応用し、病気の進行段階のgradeの分類を行うことができるかについて検討する。 上記に加えて、患者の時系列の検査データ等を併せて解析し、生検における巣状、増殖硬化、硝子化、半月体などのデータを、単なる悪性度と捉えるのではなく、その内容によってどのような経緯を辿るのかを明らかにする。また,ベイズ推定におけるMCMCについても、データを増やすことにより、さらに精度の高い,確率分布の定常分布をシュミレート行う。さらに,ランダムフォレストやXGBoostなどの機械学習を用いることにより、よりよいモデル作成を行うためのハイパーパラメータの決定を行う。また、これにさまざまの検査結果を併せて機械学習を行い、回帰解析や分類解析を行い、真に悪性度の高い、患者の特定などを行う方法を確立する。これらの結果から学会基準より詳細な判定ができる可能性について検討し、可能性が高まれば、この研究の拡張したいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究当初より計画段階では想定していなかった新型コロナの影響により,他施設との連携が遅れており前年度の未使用額が生じていた。当該年度には,かなり研究を進めることもできたが,その前からの遅れを完全には取り戻す事ができなかった。現時点では,この当該年度までの遅れた分について,次年度に行うように計画している。したがって,他施設との連携や最終的な結果の解析など,当該度に予定していた計画の一部を次年度に行うことを予定しているため,次年度予定額が生じた。
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